概要

eセールスマネージャーはソフトブレーン株式会社が提供する国産のCRM/SFAツールです。CRM/SFAといえばSalesforceも高い知名度を誇りますが、eセールスマネージャーは顧客へ直接足を運ぶことを重視する日本の営業カルチャーに合わせて出先での操作性を重視し、営業担当の社員がスマートフォンやタブレットといった携帯端末からでも営業データベース、CRMへアクセスできるよう設計されているなどSalesforceとは差別化が図られています。

いずれのCRM/SFAツールにおいても同様ですが、日々の営業成績データ、顧客データをただ保管しておくのではなく、それらのデータに対しデータ分析を行って営業活動を最適化することが重要です。

各ツールに標準で備わっている分析機能以上の分析を行う際は別途DWH(DWHについてはこちらをご覧ください。)へデータ統合し、データの可視化に特化したBIツールと組み合わせた分析が有効ですが、このようなデータ分析基盤の構築はデータエンジニアリングの知識が必要になります。

そこで今回はtrocco®というデータ分析基盤構築サービスを利用してeセールスマネージャーのデータを自動で取得、DWH(今回はAmazon Redshiftを使用)へ統合し、LookerというBIツールでデータの可視化までをやってみようと思います。

なお今回データの転送手段として使用するtrocco®はeセールスマネージャーの他にも様々な広告・CRM・DBなどのデータソースに対応しています。

eセールスマネージャーのデータをAmazon Redshiftへ転送

ゴール

下のようなeセールスマネージャーのデータを

esalesredshift_データプレビュ.png

Amazon Redshiftに転送し、Lookerで可視化します。作成後はデータを自動で最新値に更新できます。

esales_redshift_完成.png

こんな人におすすめ

  • eセールスマネージャーのデータをAmazon Redshiftに自動で統合したい
  • eセールスマネージャーのデータを可視化して社内で共有したい
  • 様々なデータの分析に時間の浪費を感じている方

1. trocco®でeセールスマネージャー → Amazon Redshiftの転送自動化

1-0. 事前準備

まずデータ転送にはtrocco®のアカウントが必要です。無料トライアルを実施しているので、事前に申し込みをしておきましょう。

https://trocco.io/lp/index.html

(申し込みの際に、こちらの記事を見たという旨を記載して頂ければスムーズにご案内が行なえます。)

1-1. 転送元・転送先を決定

trocco®にアクセスして、ダッシュボードから「転送設定を作成」のボタンを押します。

ダッシュボード.png

転送元に「eセールスマネージャー」を指定し、転送先に「Amazon Redshift」を選択して転送設定作成ボタンを押します。

esalesredshift_新規作成.png

設定画面になるので、必要な情報を入力していきます。

1-2. eセールスマネージャーとの連携設定

trocco®には社内のメンバー間でチームを作成し、チームで転送設定を共有する機能があります。チームの他メンバーにも転送設定の内容がわかるように名前とメモを入力しておきましょう。

esalesredshift_設定①.png

次に「転送元eセールスマネージャーの設定」内の「接続情報を追加」ボタンを押します。

esalesredshift_情報追加.png

別のタブでeセールスマネージャーの接続情報の新規作成画面が開きます。

接続情報を作成するためにAPIトークンを取得する必要があります。

APIトークンの取得方法は以下のとおりです。

https://docs.trocco.io/s/article/eセールスマネージャーの接続設定

1.右上のログインしているアカウントの名前が表示されているところをクリックし、「システム設定」をクリックします。
2.左に表示されているバーから「システムの設定」→「外部システムとの連携」をクリックします。
3.上部から「その他」をクリックします。
4.「eセールスマネージャーAPIトークン設定」にて「発行」をクリックし、「設定完了」をクリックします。

e接続追加.png

問題がなければ保存します。転送設定画面に戻り、接続情報の「接続情報を読み込む」ボタンを押すと、先ほど作成した接続情報が選択できるようになります。

esalesredshift_sample.png

1-3. eセールスマネージャーのデータ抽出設定

取得するデータを設定していきます。

eセールスマネージャーからデータ抽出するための検索クエリを、JSON形式で入力します。
※ eセールスマネージャーのAPI仕様はこちらをご確認ください。

esalesredshift_検索用クエリ.png

1-4. 転送先Amazon Redshiftの設定

転送元と同様に設定していきます。まずはAmazon Redshiftの接続情報を作成していきます。

転送先となるAmazon Redshiftの接続先ホスト、接続先ポート、ユーザー名、パスワードを設定し、AWSのアクセスキーIDとシークレットアクセスキーを設定する必要があります。
AWSのアクセスキーとシークレットアクセスキーの取得方法は以下の通りです。

1.IAM コンソール を開きます。
2.ナビゲーションメニューで [ユーザー] を選択します。
3.IAM ユーザー名 (チェックボックスではありません) を選択します。
4.[認証情報] タブを開き、次に [アクセスキーの作成] を選択します。
5.新しいアクセスキーを表示するには、[表示] を選択します。認証情報は次のようになります。
6.アクセスキー ID: AKIAIOSFODNN7EXAMPLE
シークレットアクセスキー: wJalrXUtnFEMI/K7MDENG/bPxRfiCYEXAMPLEKEY
キーペアをダウンロードするには、[.csv ファイルのダウンロード] を選択します。キーを含む .csv ファイルを安全な場所に保存します。

redshift設定.png

先ほど作成した接続情報を選択し、データベース名、スキーマ、テーブルなど必要な情報を設定していきます。(データベース、スキーマ、テーブルは事前にAmazon Redshiftで作成しておく必要があります)

eslaesredshift_転送先.png

これで入力は完了です。「保存して自動データ設定・プレビューへ」をクリックし、確認作業に進みましょう。

1-5. データのプレビュー

eセールスマネージャーから取得されるデータがプレビューとして表示されます。問題なければ確認画面に進み、転送設定を保存しましょう。

esalesredshift_データプレビュ.png

次に転送設定の一覧から作成した設定を選び「スケジュール・通知設定」に進みます。

1-6. スケジュール・通知設定

「スケジュール・トリガー設定」タブを開きます。

esalesredshift_スケ.png

「スケジュールを追加」ボタンを押すと、以下の画像のようなモーダルが出てきます。ここで実行スケジュールを設定することで、転送を定期的に実行し自動化することが出来ます。

esalesredshift_登録.png

1-7. データ転送ジョブの実行

設定は以上です。最後に、手動で転送ジョブを実行し、Amazon Redshiftにデータを送ります。
手動で実行する場合はジョブ詳細画面の「実行」ボタンを押します。

esalesredhsift_実行.png

これで転送は完了です。

2. Amazon Redshiftの設定

Amazon Redshift側で特に操作は必要ではありませんが、念の為Amazon Redshiftのコンソール画面から確認してみるとたしかにデータが転送されていることが確認できます。

esalesreddshift_select.png
esalesredshift_プレビュー.png

3. Lookerで可視化

まずはAmazon RedshiftとLookerを接続します。 管理タブを開いて「データベース」の「接続」を開きます。

looker接続.png

接続しているデータベース一覧が表示されています。ここで「Add Connection」を選択し、接続設定を行う画面が表示れるので、情報を入力していきます。

addconnection.png
esalesredshift_connectring.png

Amazon Redshiftのデータベースに接続できたら、次はデータを可視化するために必要なLookMLプロジェクトを作成します。 開発タブを開いて「LookMLプロジェクトの管理」に移動します。

プロジェクトの管理.png

「New LookML Project」からLookMLプロジェクトを作成します。

newlookerml.png
esalesredshift_newproject.png

「Create Project」を押したら、エディタでmodelとviewを定義します。 後々必要になるので、modelの中ではexploreを設定しておきましょう。 (書き方が分からない場合はLookerの公式ドキュメントを参照してください)

esalesredshift_model.png
esalesredhift_views.png

これで下準備が整いました。 トップページに戻って「New」からDashboardを作成します。

newdash.png

白紙のダッシュボードが作成されるので「esales_redshift_ダッシュボード」と名前をつけます。
そして「Dashborardの編集」→「タイルの追加」を選択し、先ほどのmodel内で定義したExploreを選択します。

esalesredhift_model追加.png

ディメンションとメジャーを設定し、Tileに表示したいデータをプロットします。例えば、案件ごとの見積額について分析したいとき、ディメンションに「案件名」とメジャーに「見積もり」を選択します。

esalesredhift_例.png

その他にも代表者ごとの取引割合や取引詳細について、ダッシュボードにまとめていきます。

esales_redshift_完成.png

これで完成です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。trocco®を使うと、eセールスマネージャーのデータを自動でAmazon Redshiftにまとめていくことができるほか、100万規模の大きなデータから小さなデータまで複雑なコーディングをせずtrocco®の画面上の設定のみでデータの転送が可能になります。

実際に試してみたい場合は、クレジットカード不要のフリープラン無料の製品資料を提供しているので、この機会にぜひ一度お試しください。

hirokazu.kobayashi

慶應義塾大学卒業後、2014年より株式会社リブセンスへ入社。データエンジニアとして同社分析基盤立ち上げをリードする。2017年より現職primeNumberに入社。自社プロダクト「systemN」におけるSpark/Redshift活用等のデータエンジニアリング業務を行うかたわら、データ統合業務における工数削減が課題だと感じ、データ統合を自動化するサービス「trocco®」を立ち上げる。