概要

Google Analytics UA(ユニバーサルアナリティクス)はWebサイト上の行動ログを調査することのできるツールです。類似のツールにGoogle SearchConsole(サーチコンソール)がありますが、こちらがWebサイトに対する検索クエリを分析する、いわば「サイトにたどり着くまで」のユーザーの行動にフォーカスしているのに対して、GoogleアナリティクスUAはサイト上でユーザーがどのようにサイト内を回遊したのかなど「サイトにたどり着いてから」のユーザーの行動にフォーカスしているという違いがあります。GoogleアナリティクスUAの活用により、多くのユーザーが閲覧しているページや、逆にあまり閲覧されていないページを把握するなどサイトの改善につなげることが出来ます。

GoogleアナリティクスUAにはデータを見やすくグラフ化するレポート機能が標準で備わっていますが、標準の機能を超えた高度なデータ分析、あるいはWebサイトへ誘導する広告データと関連させたデータ分析を行う際にはデータの高速処理に長けたDWH(データウェアハウス)を別途用意し、そちらへデータを統合、BIツールでデータの可視化を行うというデータ分析基盤の構築が有効です。これは少なからずデータエンジニアリングのノウハウを必要とするものですが、今回はtrocco®というデータ分析基盤構築サービスを利用し、GoogleアナリティクスUAのデータを抽出、DWH(今回はGoogle BigQueryを使用)へ統合、TableauというBiツールでデータの可視化までをやってみようと思います。

なお今回データの転送手段として採用したtrocco®は、GoogleアナリティクスUAの他にも、様々な広告・CRM・DBなどのデータソースにも対応しています。

※Google Analytics UAは2023年7月をもって廃止が予定されており、GoogleではGoogle Analytics 4への移行を推奨しています。なお、trocco®開発チームでは現在Google Analytics 4への対応を進めております(’22年12月時点)。

参考:ユニバーサル アナリティクスのサポートは終了します

GoogleアナリティクスのデータをGoogle BigQueryへ転送

ゴール

Googleアナリティクス UAのデータをこのようにGoogle BigQueryに統合し

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Tableauで可視化します。グラフの作成後はtrocco®の機能を利用して自動でデータが更新されるように設定します。

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こんな人におすすめ

・Googleアナリティクス UAに標準の機能以外の分析をしたい
・Googleアナリティクス UAでは難しいページごとのミクロな分析を行いたい
・Googleアナリティクス UAのデータをGoogle BigQueryやTableauで分析したい

1. troccoでGoogle Analytics → Google BigQueryの転送自動化

1-0. 事前準備

データの転送のためにはtrocco®のアカウント・Google BigQueryを操作できるGoogleアカウントが必要です。
trocco®は無料トライアルを実施しているので、事前に申し込みをしておきましょう。
https://trocco.io/lp/index.html
(申し込みの際にこちらの記事を見たという旨を記載して頂ければご案内がスムーズに行えます)

1-1. 転送元・転送先を決定

trocco®にアクセスして、ダッシュボードから「転送設定を作成」のボタンを押します。

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転送元に「Google Analytics」を指定し、転送先に「Google BigQuery」を選択して「この内容で作成」ボタンを押します。

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設定画面になるので、必要な情報を入力していきます。

1-2. Google Analyticsとの連携設定

trocco®には社内のユーザー間でチームを作成し、チーム内で転送設定を共有するチーム機能があります。チームの他メンバーにもわかるよう転送設定の名前とメモを入力します。

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次に「転送元の設定」内の「接続情報を追加」ボタンを押します。

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別のタブでGoogleアナリティクス UAの接続情報の新規作成画面が開きます。
接続情報を作成するためにJSON Keyが必要になります。

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再度転送設定画面に戻り、接続情報の「再読込」ボタンを押すと、先ほど作成した接続情報が選択できるようになります。

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これでGoogleアナリティクス UAとの連携は完了です。

1-3. Google Analyticsからのデータ抽出設定

どのようなデータを取得するかを設定していきます。

  • ビューID
    • データを取得するアナリティクス UAのビューIDを入力します。
    • ビューIDはGoogle Analyticsの管理ページ→ビュー設定で確認できます。
  • タイムスタンプの形式
    • レポートのタイムスタンプの形式を選択します。
    • なお、ここで設定した値はディメンションでは設定できません。
  • ディメンンション
    • 取得したいディメンションの名前を入力します。
    • ディメンションは最大8個まで設定できます。
    • 設定できる値についてはGoogle Analytics公式をご参照ください。
  • 指標
    • 取得したい指標の名前を入力します。
    • ディメンションは最大10個まで設定できます。
    • 設定できる値についてはGoogle Analytics公式をご参照ください。
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1-4. 転送先Google BigQueryの設定

「接続情報を追加」ボタンからGoogle BigQueryの接続設定を行います。名前と、認証方式としてサービスアカウント(JSONキー)を入力します。

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JSONキーの取得方法についてはこちらのドキュメントを参照してください。
「接続情報を追加」ボタンからGoogle BigQueryの接続設定を行い、データセット・テーブル・データセットのロケーションを指定します。

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最後に、接続確認が問題なく通るか確認します。

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これで入力は完了です。「次のSTEPへ」をクリックして次に進みましょう。

1-5. データのプレビュー

Googleアナリティクス UAからどのようにデータが取得できるかプレビューで確認できます。取得したいデータが表示されていなければ再度設定画面に戻って設定をやり直しましょう。

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問題が無ければ、確認画面に移り、保存して適用しましょう。

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「スケジュール・通知設定」に進みます。

1-6. スケジュール・通知設定

「スケジュール・トリガー設定」タブを開き、スケジュールを追加します。

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以下のように実行スケジュールを設定することで、転送を定期的に実行し自動化することが出来ます。

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また必須の設定ではないですが、ジョブの実行ステータスに応じてEmailやSlackに通知を行うことが出来ます。

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1-7. データ転送ジョブの実行

設定は以上です。最後に、手動で転送ジョブを実行し、Google BigQueryにデータを送ります。
手動で実行する場合はジョブ詳細画面の「実行」ボタンを押します。

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これで転送は完了です。

2. Google BigQueryの設定

Google BigQuery側で特に操作は必要ありませんが、コンソール画面からプレビューを確認してみるとたしかにデータが転送されています。

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3. Tableauで可視化

最後にこれらのデータをTableauで可視化していきます。

まずはGoogle BigQueryとTableauの接続設定を行います。
新しいワークブックを作成し、「コネクタ」タブから「Google BigQuery」を選択します。

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続いて、接続情報の中からデータの可視化を行いたいテーブルを選択します。

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続いて、下のタブの中から「新しいワークシート」を選択し、グラフを作成していきます。

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ディメンションとメジャーを選択し、右上の表示形式から適切なグラフを選択することで、グラフを作成することができます。
例えば、時間ごとのPV数を分析したいときはディメンションに「Date Hour」、メジャーに「Pageviews」を選択し、線グラフを選んでみます。

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以下のような年ごとのPV数についてのグラフが表示されました。

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このままでは扱いづらいため、横軸を年ごとから時間ごとに変更します。
また、グラフの大きさや位置、タイトルなどを好みに合わせて編集します。

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これで完成です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。trocco®を利用することでGoogleアナリティクス UAのコンソール画面を操作せず簡単にデータを取得し、Google BigQueryへ統合、Tableauと連携してデータをグラフにして可視化することが出来ました。
実際に弊社サービスのtrocco®においても、マーケティングKPI等をこのような流れで収集・分析しています。
ぜひ広告データ分析の際にはご活用ください。


trocco®では、クレジットカード不要のフリープランをご案内しています。ご興味がある方はぜひこの機会に一度お試しください。

hirokazu.kobayashi

慶應義塾大学卒業後、2014年より株式会社リブセンスへ入社。データエンジニアとして同社分析基盤立ち上げをリードする。2017年より現職primeNumberに入社。自社プロダクト「systemN」におけるSpark/Redshift活用等のデータエンジニアリング業務を行うかたわら、データ統合業務における工数削減が課題だと感じ、データ統合を自動化するサービス「trocco®」を立ち上げる。