trocco®を利用する方が相互理解を深め、それぞれの企業が持つ経験やノウハウを共有しあう場として開かれるtrocco®ユーザ会。
毎回、日頃trocco®を利用している方に登壇いただき、trocco®の使い方や具体的な活用事例についてお話いただいています。
今回第4回ユーザ会にはアンドデジタル株式会社の堀川氏に登壇いただき、Google 環境でtrocco®とLooker Studioを最大限活用する方法やLooker Studioの活用のテクニックについてお話しいただきました。
本レポートでは、堀川氏による発表内容をもとに、Google Workspaceとtrocco®、trocco®やSlackなどの別サービスを組み合わせたテクニック、またLooker Studioを活用し社内の多くのメンバーの業務を効率化するためのテクニックを紹介します。
登壇者と登壇者所属企業の紹介
堀川 工望 氏 / アンドデジタル株式会社 取締役COO
1991年生まれ。2016年ソウルドアウト株式会社に入社。SEM・SNS・フィード広告の運用部門を経験。2019年にデジタルオペレーションセンター四万十のセンター長に就任。並行してソウルドアウトのカシカ事業(現アンドデジタルカシカ事業)の立ち上げを担う。2021年にアンドデジタル株式会社に設立に参画後、デジタルオペレーション本部長に就任。2023年1月より現職。Professional Data Engineer(Google Cloud認定資格)、Google Analytics認定資格 / GAIQ などの資格を保有している。
アンドデジタル株式会社
アンドデジタル株式会社は、「限りなき成長を、ともに。」をミッションに掲げ、マーケティングと営業領域に特化し、中小・ベンチャー企業向けのDX支援を行っております。HubSpotとGoogle Deta Cloudに強みを持っており、「デジタル活用支援」ではHubSpot・自社ツールの導入/運用/コンサルティングサービスを展開。
https://www.anddigital.co.jp/
Google Workspaceとtrocco®を組み合わせたテクニック
trocco®のAPIオプションを利用してtrocco®のワークフローや転送設定などを外部からキックする

堀川 工望氏:「弊社では、スプレッドシートで見込み営業の管理をしています。たとえば、営業メンバーが直前に見込みを更新したとき、それをダッシュボードに反映させたいという要望がありました。
このリクエストに応えるため、スプレッドシート上にデータの取り込みボタンを用意し、ボタンを押下するとGASが実行されてtrocco®のAPIを使用してスプレッドシートからデータを取り込み、データが反映されるようにしました。
このように、trocco®を取り扱わない現場ユーザーも、GASを介してtrocco®上で設定されたワークフローを実行し、オンデマンドでデータ更新できる仕組みを取り入れています。」
データを毎日Slackに送信し、確認する

堀川 工望氏:「また、ダッシュボードだけでなく、Slackなどのコミュニケーションツールに毎日レポートデータを投稿してほしいというニーズも多いですが、trocco®には転送先コネクタにSlackが現状用意されておらず、たとえばBigQueryから計算された結果をテキストとして送信するといったフローをtrocco®の内部で実行することはできません。
そこで、スプレッドシートを介してデータを転送してGASをトリガーしてスプレッドシートの値を取得します。SlackのAPIを使用することでよりリッチな内容のメッセージが送信できます。これにより、Slack以外にも応用可能な方法を提供できると考えています。」
Looker Studioの監査ログを利用して活用状況を可視化する方法

堀川 工望氏:「弊社では、社内外でLooker Studioを使っており、その活用状況を可視化する際にもtrocco®を利用しています。Looker Studioの監査ログをBigQueryに出力し、そのデータをtrocco®で加工し、Looker Studioで可視化をしています。
Looker Studioの監査ログデータをBigQueryに出力する機能は契約プランによってできない場合もありますが、スプレッドシートに出力できますので、そちらで対応することも可能です。このデータを活用して、社員データやレポート情報などを関連付けながら、社内外でのLooker Studioの利用状況を可視化しています。
たとえば、ドメインがグループの企業ではない社外のアカウントによるレポートのPV数を確認しています。また、レポート別のPVも見られるようにしており、誰がどれくらいレポートを閲覧しているのか、ダウンロードや編集をしているのかなどを把握するのに役立てています。
こうしたデータをもとにデータの不足や修正が必要な箇所を特定したり、仮説を立ててレポートの改善を行ったりしています。」
Googleカレンダーのデータを工数集計に活用する

堀川 工望氏:「最後に、Googleカレンダーデータを工数集計に活用する方法を紹介します。弊社では、Googleカレンダーのタイトル入力にルールを設け、BigQueryを使用して工数集計を行っています。
たとえば、”trocco®ユーザー会発表”という予定をカレンダーに追加し、その後にいくつかのカテゴリーのフラグと共に”プライムナンバー”などの企業名を付けます。
入力されたカレンダーのデータは毎日GASやAPIを利用して取得し、trocco®を利用してBigQueryに転送・加工・集計を行っています。
これにより、社員による工数の入力にかかる負担を減らし、入力率を高めることができました。」
Looker Studioの活用テクニック
「Looker Studioの小ネタ集」として、Looker Studioをより活用するためのコツを紹介いただきました。堀川氏によると、BigQueryと併せて利用することで、大容量データを扱うことができたりグラフや表の表現の自由度が高まったりするなど、Looker Studioを最大限活用できるとのことでした。今回はパラメータ機能にフォーカスし、その活用例をお話いただきました。

堀川 工望氏:「パラメータ機能は、テキストや数値情報(パラメータ)をレポートの画面からBigQueryのSQLクエリに変数として与えて、その結果をグラフに反映することでインタラクティブなレポートを作ることができる機能です。」

堀川 工望氏:「具体的にレポートを用いて説明します。たとえば2020年11月のデータをもとに特定の日を基準に分けたいとします。11月10日という値を与えると、その値をパラメータとして裏側で受け取り、その基準に基づいてデータを二つに分け比較することができます。
また、任意の期間を比較する場合にはそれぞれの対象期間の開始日・終了日をパラメータとして与えることで、二つの期間でデータを分け比較することができます。データ分析において任意の期間で比較したい場面は多いので、とても便利な機能です。
ただし、現時点では日付を選択するなど、カレンダーのように設定することはできません。」

堀川 工望氏:「そのほかにも、Looker Studioは各グラフで期間軸が1つしか設定できないため、分析において2つ以上の期間軸が必要な場面では、パラメータを利用することで対応できるケースがあります。
たとえば、SFAなどを利用した営業成績の見込み管理データにおいては、いつ計上される予定の見込みか(計上月)、いつ始まった商談か(商談開始日)、いつ受注したか(商談受注日)、いつ時点のデータか(入力日)などの期間軸がありそれらを組み合わせて分析を行う必要があります。
弊社では、Looker Studioのグラフの期間軸では計上月(どの期間の見込みか)を設定し、パラメータでいつ時点の入力データかを切り替えることで、入力された商談データの日別推移や期間比較ができるようなレポートを実装しています。特に入力ログデータは比較的大きい容量のデータになりがちですが、BigQueryを利用することでデータ量を気にせず出したいデータを出すことができます。
また、期間軸だけでなく、パラメータで見込みの確度計算なども調整できるようにしており、営業現場でよく言われる「硬め、成り行き、強気」などの計算が瞬時に切り替えられるような仕組みも取り入れております。」

堀川 工望氏:「さらに、目標や基準値を設定し、結果を再取得することもできます。たとえば、CPA目標を設定し、その目標に対して良いか悪いかを示す指標を返すことができます。
具体的な例として、それぞれの広告媒体のCPA(コンバージョン1件あたり獲得単価)が2,000を超える場合は”Bad”、2,000未満の場合は”Good”と表示されます。また、目標値に基づいてデータをカラーマーキングするなど、色分けも可能です。これらの機能は、BigQueryを使用して実現できます。
さらに、BigQuery側で関数を用意しておけば相関係数などの統計的指標もパラメーターを使用することで裏側で計算できます。
また、Looker Studioの機能で閲覧中のユーザー情報をパラメータとして受け取ることもできます。Looker Studioでは通常閲覧権限はレポート単位でのみ設定可能で、ユーザーによって見せたいデータを管理するためにはレポートを分ける方法が一般的でした。
そこでユーザー情報をパラメータとして受け取れる機能を利用して、BigQuery側で表示するデータをユーザーによって制御することで、同じレポートの中でユーザーによってデータを出し分けることが可能です。」
さいごに
trocco®を提供する株式会社primeNumberは、trocco®を利用している方に向けた交流や勉強のための会を開いております。
第4回のユーザ会はオンラインでの開催でしたが、発表内容にコメントをしながら視聴したり参加者の方からいただいた質問にリアルタイムで回答するなど、和気あいあいとtrocco®の活用について知見を共有しています。
trocco®をすでに利用されている方の中で他社の事例にご関心をお持ちの方は、ぜひ担当のカスタマーサクセスまでお問い合わせください。
また、trocco®の導入を検討されている方は、まずはフリープランをご利用いただき、BigQueryやLooker Studioと併せて活用されてみてはいかがでしょうか。
