さまざまな情報が取得できる昨今、事業成長にはデータの収集・活用が欠かせません。しかし、データの品質確保や適切なツールの選択、データセキュリティの問題など、データ活用に関する課題に直面している企業は少なくないでしょう。

そうした課題を解決する一助となるのがDataOps(データオプス)です。DataOpsは、データのライフサイクル全体を効率的に管理する手法で、データの品質向上、迅速なデータ配信、セキュリティの強化など、多くのメリットを提供します。

本記事では、DataOpsがどのようなものか、また、その効果や実践のステップを解説します。

DataOpsとはデータ管理・分析を効率化する手法

DataOpsとは、人員やプロセス、テクノロジーの連携を強化し、データライフサイクル全体を効率的に管理する手法を指します。

アメリカの調査会社であるGartner社などの研究機関もDataOpsの重要性を詩的しており、「組織全体のデータ管理者と利用者間のデータフローのコミュニケーション、統合、自動化を改善する」と定義されています。

近年、データの需要が増加しデータドリブン経営が重視されています。しかし、組織内でデータ運用を活性化させるためには、データへの容易なアクセスを実現し、さまざまな関係者の要求に対応することが不可欠です。

こういった課題の解決のために登場したのが、DataOpsです。DataOpsは、データ運用の自動化やデータ利用者とデータ管理者の協力により、データ品質の向上や迅速なデータ配信、データセキュリティの強化などを実現できます。

DataOpsが注目されている背景

DataOpsが注目されている背景は、増加するデータの量とその複雑性、データドリブン経営の推進などがあります。その中で、もっとも大きな要因のひとつとして挙げられるのは、部門間での横断的なデータ連携の需要増加です。

データの供給側では、DX推進などの影響により、取り扱うべきデータの種類・量は爆発的に増えています。一方で、データの利用側では、データ分析ツールの普及や、AI機能の積極的な活用などにより、業務部門でのデータ活用の範囲が拡大しています。

データの供給側と利用側の双方でデータ活用の需要が増加する中、多くの組織でデータ活用に関する業務の属人化が問題となっています。そのため、データ分析の部門やデータ収集・管理する部門などが横断的に連携すし、データの取得から利用までに流れを最適化するDataOpsのアプローチが必要とされているのです。

DataOpsを実践することで解決できること

DataOpsを実践することで、データ品質の向上やデータ活用のプロセスの効率化が見込まれます。
ここでは、それぞれについて詳しく説明します。

データ品質が向上する

データドリブンな意思決定を実現させるためには、信頼度の高いデータ分析が不可欠ですが、さらに前提として求められるのがデータ品質です。

DataOpsでは、データのETLや分析などのプロセスを統合し、自動化します。これによって、人為的なエラーやミスが削減され、データ品質の向上に貢献します。また、異なるデータソースからのデータを統合し、データフローが一元的に管理されることで、データの一貫性や整合性が確保されます。

データの一元的な管理には、ETLツールを積極的に利用するとよいでしょう。異なるデータソースからのデータの抽出・統合や、必要な形への変換を効率的に行えます。さらに、データの監視や管理を自動化できるため、データセキュリティの観点からもデータ品質の保持・向上が期待できます。

データ活用のプロセスを効率化できる

DataOpsの実践により、データ収集から分析までのデータフローが自動化されると、データの利用者と供給者が容易にデータ連携を行えるようになります。このように、組織内での横断的なデータ連携が可能になると、効率的なデータ活用が実現できます。

部門間の連携強化や、ETLツールなどの自動化を促すツールを積極的に導入することによって、データの民主化が実現できる点も大きなメリットです。データの民主化が実現すると、個々のスキルや部門を問わず、誰もが必要なデータを活用できるようになるため、組織内でのデータ運用が活性化されます。

データ活用のプロセスが効率化されれば、迅速な意思決定や生産性の向上につながります。DataOpsの実践は、直接的に競争力の強化に起因する、非常に重要な取り組みなのです。

DataOpsに取り組むまでのステップ

ここでは、DataOpsを取り組む際のプロセスを以下の3つのステップにわけて解説します。

  • 組織のデータ活用の状況の整理と目標設定
  • データ活用のプロセスの改善と自動化
  • 継続的な学習とフィードバックループの確立

それでは、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

組織のデータ活用の状況の整理と目標設定

DataOpsに取り組むためには、まず組織全体のデータ活用の現状を把握し、それに応じた具体的な目標を設定することが大切です。

現在の組織内でのデータ収集や処理、分析のプロセスを正確に把握し、手作業に依存している作業やボトルネックとなっているプロセスを明確化します。これに基づき、データ品質の向上やリアルタイム分析の実現などの具体的な最終目標を決定します。

SaaSツールやBI、AIを利用することで、データの管理や分析の効率化が期待できます。

データ活用のプロセスの改善と自動化

現状の把握が完了し具体的な改善目標が定まったら、実際にデータ活用のプロセスの改善と自動化を行います。

手作業での人為的なエラーが課題となっている場合は、ETLツールの導入によって、データの収集や処理、分析などの自動化を目指します。データ品質の確保が課題となっている場合は、データクレンジングやデータの正規化を行ったり、リアルタイム処理のプロセスを導入したりします。

プロセスの改善や自動化を行う際には、データ品質について慎重に検討する必要があります。データ品質が確保できていないままデータ活用を行っても、信頼性の高い分析結果は得られません。プロセスの改善や自動化が無駄な作業となってしまわないよう、データ品質の確保は慎重に行う必要があります。

継続的な学習とフィードバックループの確立

データ活用のプロセスの改善と自動化が完了したら、今後も継続的な学習が行えるよう、フィードバックループを確立することが大切です。

データ活用のサイクルを回すたびに利用者やチームからのフィードバックを積極的に収集し、プロセスの改善に繋げます。また、組織内でのミーティングやレビューを定期的に行い、成果やプロセスの評価を行うことが重要です。

まとめ

本記事では、DataOpsの意味や注目されている背景、実践に向けた具体的な取り組みなどを解説しました。

データドリブン経営の重要性が高まる現代では、組織内での効率的なデータ活用が欠かせません。しかし、属人化が進み、各部門でのデータ連携がスムーズに取れていない状態では、データを効率的に運用することは難しいでしょう。

そこでDataOpsを実践し、データライフサイクルを効率的に管理することが大切なのです。DataOpsの実践によって、データ品質の保持・向上やデータ活用のプロセスの効率化など、さまざまな恩恵を受けられます。データ活用が効率的に行えていないと感じている方は、本記事で紹介したステップをもとに、DataOpsの実践を検討してみてはいかがでしょうか。

データ分析基盤総合支援サービス「trocco®」では、データのETLを中心として、データ運用を手助けするさまざまな機能を提供しています。DataOpsの実践における、データ活用の自動化はETLツールの導入が非常に効果的です。複数のデータソースから抽出したデータを連携し、一元的な管理を実現したい方は、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

「現在のETLプロセスに課題感を抱いている方」や「DataOps実践のために、データ活用を自動化したい方」、プロダクトにご興味のある方はぜひ資料をご覧ください。

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