データの質は、ビジネスや研究の成果を左右する重要な要素です。しかし、どれほどのデータが集まっても、その内容や特性を正確に把握していなければ、その真価は引き出せません。ここでデータプロファイリングの役割が明らかになります。

データプロファイリングとは、データセットの内容や品質、構造をくわしく調査・分析するプロセスです。データの特性や不整合性を明らかにし、データクレンジングや分析の方向性を決定することを目的に行われます。

この記事では、データプロファイリングとは何か、なぜそれが必要なのか、そしてどのように行えばいいのかを解説します。

データプロファイリングとは

データプロファイリング(Data Profiling)とは、特定のデータセットやデータベース内のデータについての情報を詳細に調査し、分析するプロセスです。そのデータの概要を把握し、輪郭付け(Profiling)をすることで、今後のデータクレンジングや分析の方向性を明確化することが目的です。

データプロファイリングでは、データの正確性や一貫性などの観点からデータ品質を評価します。具体的には、データの完全性・有用性の判断、エラーやNull値がないかどうかの特定、ユニークな値の確認などを行います。

データウェアハウスやビッグデータ、BIに関するプロジェクトにも適用でき、その後の処理や分析を効率的に行うために非常に重要なプロセスです。そのほかにも、データ品質の保持や情報の一元化など、データプロファイリングの実践によって受けられる恩恵はさまざまです。

データプロファイリングとデータマイニングの違い

データプロファイリングは、データセットの基本的な情報や品質を調査・分析するプロセスを指します。そのため、特定のデータの概要を把握し、データクレンジングや分析の方向性を決定することが目的です。

一方データマイニングは、大量のデータから価値ある情報を抽出するための手法や技術を指します。データ内に潜在している規則性や傾向を発見して今後の動向を予測し、効果的な意思決定につなげることを目的とします。

したがって、データプロファイリングとデータマイニングは、目的や実施する方法、活用例などが大きく異なります。以下の表は、それぞれのおもな相違点を比較したものです。

データプロファイリングデータマイニング
目的データの基本的な特性や品質を把握するデータ内の規則性や傾向を発見し、予測へつなげる
実施方法統計情報、データ型、重複データの検出、欠損値の確認など機械学習、パターン認識、統計手法など
活用例平均値や最大値・最小値、データ型の確認、品質評価など顧客セグメンテーション、予測モデルの構築、ターゲット選定など

データプロファイリングを実施する際には、時間やリソースを無駄に費やしてしまわないよう、「なぜ実施するのか」「どのように実施するのか」「どのように活用するのか」を明確化しておくことが大切です。

データプロファイリングが必要な理由

データプロファイリングは、このデータの品質を評価し、向上させるための重要な手段として位置づけられています。以下はデータプロファイリングが重要であるおもな理由です。

  • データ品質が向上する
  • 正しいデータをもとに意思決定できる
  • 情報を一元化でき、効率的な分析ができる

それでは、各項目についてくわしく説明します。

データ品質が向上する

データプロファイリングでは、欠損値や重複データ、異常値などの検出を行うため、データの正確性が保たれます。また、データの種類や構造、データフォーマットなどの確認も行うため、データの一貫性が確保されます。これらのプロセスにより、データ品質の向上が期待できるのです。

現代では、多様なデータソースから得られるビッグデータをいかに効果的に活用し、競争力を高めるかが重要視されています。その結果、処理するデータ量ばかりを追求し、データ品質のチェックがおろそかになっているケースが多くあります。

しかし、精度の高い分析や効果的な意思決定は、質の高いデータ無くしてできません。予測モデルの出力精度を向上させるためには、データプロファイリングの実施により、データ品質を確保することが前提となるのです。

正しいデータをもとに意思決定できる

データプロファイリングでは、データセット内の欠損値や重複データなどを検出できるため、正確で信頼性の高いデータ分析に利用できます。また、データ品質に関するルールや基準を設定でき、これらに基づいてデータクレンジングや前処理を行えるため、データ品質の保持・向上が可能です。

誤ったデータに基づいて意思決定を行ってしまった場合、修正のための時間やコストがかかったり、場合によっては取り返しのつかないミスを招いたりしてしまう恐れがあります。正確かつ効果的な意思決定が行えるよう、データプロファイリングによって正しいデータを生成する必要があります。

情報を一元化でき、効率的な分析ができる

データプロファイリングでは、抽出されたデータのフォーマットや基準が統一されるよう、データの標準化を行います。これにより、異なるデータソースから得られたデータも、一元的な管理が可能です。

組織内のデータを一元的に管理できれば、重複データや不必要なデータが削減され、必要な情報を迅速に見つけ出せるようになります。これによって、より効率的なデータ分析が可能になるでしょう。さらに、組織内での情報共有も容易になり、正確かつ迅速な意思決定を実現できます。

データプロファイリングの3つの主要な方法

データプロファイリングの手法には、代表的なものに構造プロファイリング、コンテンツプロファイリング、リレーションシッププロファイリングの3つがあります。

それぞれについて解説します。

構造プロファイリング(構造の検出)

構造プロファイリングでは、データベースやファイル内のデータの構造やフォーマット、スキーマに関する情報を調査します。データプロファイリングの中でも基本的なプロセスであり、データの統合や変換の際にデータの構造を把握することがおもな目的です。

データがテーブルで構成されている場合、各テーブルとフィールドの対応関係を特定します。そして、各フィールドのデータ型を特定し、主キーやインデックスが存在する場合には、それらの特定も行います。

コンテンツプロファイリング(コンテンツの検出)

コンテンツプロファイリングでは、データの実際の内容や具体的な値に着目し、認知的に調査することで、データにあるギャップやエラーを特定します。データフィールドや列に格納された実際の値やテキストを把握することで、より詳細な情報を検出できます。

コンテンツプロファイリングは、データに含まれる欠損値や異常値、重複データなどを検出するため、直接的にデータ品質に影響を及ぼすプロセスです。データの特性や具体的な内容を理解し、適切な処理・分析につなげることが目的です。

リレーションシッププロファイリング(関係性の検出)

リレーションシッププロファイリングでは、異なるソース間の関係性や結びつきを調査します。異なるエンティティやテーブル間の相互関係を把握し、適切な処理・分析へつなげることが目的です。

データ間の主要な関係性を理解することで、必要なデータの取捨選択が可能になったり、変換すべき箇所が特定できたりします。さらに、「テーブル間の関係が正しく構築されているか」や、クエリを実行する際に「どのテーブルを、どのような方法で結合するか」などを確認することにより、データの整合性の確保やクエリの最適化を実現できます。

まとめ

本記事では、データプロファイリングの概要やデータマイニングとの違い、主要な方法などを紹介しました。

現代のビジネスでは、扱うデータ量の増加やデータソースの複雑化によって、いかに多くのデータを処理するかに関心が向きがちです。しかし、正確で信頼度の高いデータ分析を実施するためには、データ品質の確保が非常に重要です。そこで活躍するのがデータプロファイリングです。

データプロファイリングは、データ品質の確保はもちろん、組織内のデータの一元管理や正確かつ効率的な意思決定を実現するうえで、非常に大きな役割を果たします。本記事で紹介した概要や主要な方法を参考にし、データプロファイリングを実施してみてはいかがでしょうか。

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