企業の経営を効率的に行うためには、収集・蓄積されたデータを分析し、その結果に基づいた経営(データドリブン経営)を実施していくことが求められるでしょう。

しかし近年、企業の持つそのデータ量が人では全体を把握するのが難しいほど膨大になり、データの分析結果を有効的に活用できない問題が生じています。

そこで注目されるようになったのが、BIツールを用いてデータ分析を実施する「データビジュアライゼーション」です。

データビジュアライゼーションにより、膨大なデータや複雑なデータを一目見てわかる形に変換でき、ビジネス上の意思決定を迅速に行えます。

本記事では、データビジュアライゼーションの概要やメリット、具体的な進め方などを解説します。

データビジュアライゼーション(データの可視化)とは

データビジュアライゼーションとは、データの傾向や変化などを一目見れば理解できるように可視化することを指します。

社内に存在しているデータは、あくまで売上高や顧客数などのただの数値であるため、それらの膨大なデータを直接的に人間が理解することは不可能です。

そこで用いられるのが、BIツールやExcelを活用したデータビジュアライゼーションです。グラフや表などのさまざまな視覚的要素で、「データの見える化」を実現できると、データのもつ傾向や変化、また異常などを人間でも瞬時に判断できるようになります。

分かりやすくかつ迅速な分析により、ビジネスや経営活動においてデータドリブンな意思決定が可能になります。

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データビジュアライゼーションの種類と方法

データビジュアライゼーションの種類として、おもに以下の6つが挙げられます。

  • 棒グラフ
  • 折れ線グラフ
  • 面グラフ
  • 散布図
  • マップ
  • インジケータ―

棒グラフ

棒グラフは、データの値を縦棒や横棒の大きさで表現するグラフです。

棒それぞれが独立しているため、データの大きさを把握する場合やデータ同士を比較する場合に役立ちます。データの数が多くなった場合でも比較しやすいのが特徴です。

折れ線グラフ

折れ線グラフは横軸に時間、縦軸にデータの値を入れてそのデータの推移を可視化します。

データを時系列順に並べるため、データの変化や傾向を把握するのに効果的なグラフです。

面グラフ

面グラフはⅹ軸にカテゴリや時間、y軸に数量をあらわします。

各カテゴリの領域を色分けると、カテゴリの量を視覚的に認識できます。また、複数の面グラフを重ねることで、多くの情報を比較できるのが強みです。

散布図

散布図は2つの変数の関係性を視覚的に理解するのに特化した図です。

2つのデータの傾向や、相関関係を表現したいときによく利用されます。

マップ

マップは地理的な情報や地域ごとの統計情報などを表現する際によく用いられます。

マップのサイズを変えたり、色分けをしたりすることで、データの傾向やパターンを明確化できます。

インジケーター

インジケーターは特定の指標を素早く把握するのに役立ちます。

おもに、目標の達成度やタスクの進捗状況などを視覚化したいときに用いられます。

データビジュアライゼーションの重要性

データビジュアライゼーションの重要性はおもに以下の2点です。

まず1つ目は、データビジュアライゼーションによって、ビッグデータでも簡単にデータの理解ができる点です。従来では数値の羅列やテキストでの表現であったため、膨大なデータを扱うのは困難でした。

しかしデータビジュアライゼーションを実施し、グラフや図を用いてデータを可視化することで、データの量に関わらず簡単に人の目で理解できるようになります。

2つ目は、データドリブンな意思決定を迅速にできることです。企業に蓄積された大量のデータを処理し意思決定に反映させるためには、データを効率的に分析することが欠かせません。

しかし、テキストや数値の羅列といった従来の方法であれば、ビックデータは処理することすら困難なうえに、処理に時間がかかり、また正確性も保証できないでしょう。

一方データビジュアライゼーションでは、データを可視化することでデータの傾向や変化を瞬時につかむことができるため、迅速な意思決定ができるのです。

たとえばビジネスにおいては、顧客のニーズや市場動向を正確に把握することが不可欠です。そのためには、膨大なデータを簡単に可視化できるデータビジュアライゼーションが必要です。

とくに、ビジネスの現場では、迅速な意思決定が求められます。データビジュアライゼーションによって、データを効率的に分析し、ビジネス戦略の修正や新たなビジネスモデルの構築につなげることが可能になります。

また、経営戦略の立案にも欠かせません。経営層は、膨大なデータを基に、適切な戦略を策定する必要があります。その際、データビジュアライゼーションによってデータを分かりやすく可視化し、迅速な意思決定をすることが重要となります。

つまり、データビジュアライゼーションは、ビジネスや経営戦略の基盤となる技術であり、今後ますます重要性が高まっていくことは間違いないでしょう。

そのとき、いかにデータビジュアライゼーションを有効的に使えるかがキーポイントになります。

反対にデータビジュアライゼーションを活用しないと、社内に存在しているデータに価値を見出せなくなったり、データに基づいた正確な意思決定ができなくなったりするでしょう。そのような事態を招かないためにも、データビジュアライゼーションの実施は欠かせないのです。

データビジュアライゼーションのメリット

データビジュアライゼーションをすると、データ活用でどのようなメリットがあるのかを解説します。

  • データから得られる情報を理解しやすい
  • 精度の高いビジネス上の意思決定を実行できる

データから得られる情報を理解しやすい

データビジュアライゼーションをする1つ目のメリットは、「ユーザーが直感的にデータを理解できるようになる」ことです。

視覚化され、誰でも直感的に理解しやすいデータは訴求力をもちます。テキストで長々と表現されるよりも、グラフや図によって可視化された情報のほうが説得力があり、理解しやすいでしょう。

データの理解が早まれば、他人と自身の意見を一致させるためにかける時間を削減でき、着手するべきタスクに時間を割くことができます。

精度の高いビジネス上の意思決定を実行できる

データビジュアライゼーションをする2つ目のメリットは、「精度の高い意思決定が可能である」ことです。

ビジネスにおいて「精度の高さ」とは、一般に「データドリブンであること」を意味します。従来のようなテキストや数値の羅列では、ビッグデータを処理することができないため、データドリブンな意思決定はできません。

データビジュアライゼーションを実施すると、ビッグデータの分析結果を企業戦略に反映させられます。誰でも情報を正確に理解しやすいため、他人との齟齬が生まれにくい利点も併せ持っています。

今後の経営戦略にはデータの可視化が欠かせません。迅速な意思決定を実現するためにも、データビジュアライゼーションの実施を検討してみるとよいでしょう。

データビジュアライゼーションのデメリット

データビジュアライゼーションのデメリットを2つ紹介します。

  • データの可視化にコストがかかる
  • ツールを使いこなすための知識やスキルが必要

データの可視化にコストがかかる

データを可視化する際に必須となるBIツールは、多くの場合コストがかかります。一般的に、ツールを使用する際にはライセンス料(一般に年間30万〜200万円ほど)や更新料、技術サポートなどのランニングコストが生じます。

さらに、データビジュアライゼーションにはデータの整理や処理のほか、データを常に新しく更新しておく必要があり、時間や人的コストがかかってしまいます。

データビジュアライゼーションの実施によりビジネス活動を有利に進められますが、コストがかかる点には注意が必要です。

ツールを使いこなすための知識やスキルが必要

データが複雑であったり、同時に表現したりする際には、ツールを活用した可視化に知識やスキルを要する場合があります。

ツールで可視化を行う際に適切なグラフや図を選択しますが、どのグラフや図を選択するかはユーザーにゆだねられます。適切な判断を行うための背景知識や、判断基準を持っていることが求められます。

データビジュアライゼーションの実施は、データ活用を有効的に進めるうえで必須となります。しかし同時に使いこなすための知識やスキルが求められることに、留意しておく必要があります。

データビジュアライゼーションの進め方

データビジュアライゼーションを実際にどのような手順で進めたらよいかをご説明していきます。

  1. 目的やターゲットの明確化
  2. データ分析基盤の構築
  3. 可視化したデータの分析

目的やターゲットの明確化

最初のステップは、データビジュアライゼーションでどのような情報を得たいのか目的やターゲットを明確にします。

【データビジュアライゼーションをする目的の具体例】

  • 自社の提供しているサービスの売上の推移を可視化する
  • 商品の価格と販売数の関係を把握する
  • ある特定の情報の分布や傾向を分析する
  • 自社製品の売り上げや収益の比較する

また、データビジュアライゼーションをしていく過程で、次のターゲットが見つかることもあるでしょう。

データ分析基盤の構築

ターゲットにするデータが決まったら、該当するデータを収集し処理を行います。

収集する際には、ターゲットとするデータからどのような情報を可視化したいのか再度明確にします。

売上の推移を可視化したいのであれば、時系列の情報を収集する必要があります。売上を比較する場合は、比較対象となるデータを収集しましょう。

データの収集後は、そのデータが可視化したいデータとして適しているのか確認します。

適したデータの形となっていなければ、自分の求める形に処理する必要があるでしょう。

可視化したデータの分析

適切なデータの準備ができたら、実際にデータの可視化・分析を行います。

データを可視化をする際には、目的とする情報が相手に瞬時かつ正確に伝わるよう、適切なグラフや図を選択します。着目した情報が売上の変化であれば折れ線グラフが効果的ですし、自社製品の売上の比較をするのであれば棒グラフが効果的でしょう。

また、1つ目のビジュアライゼーションが完成したらよりよい表現ができるような工夫をしたり、新たな着目点が生まれるような深堀りをしたりすることも、データ分析の質を向上させるうえで大切です。

日々創意工夫して、見やすく情報が的確に伝わりやすいデータの可視化を心がけるとよいでしょう。

データの可視化に役立つツール・ソフトウェア3選

データビジュアライゼーションをするうえで欠かせないのがBIツールです。

しかしBIツールは前述したとおり、コストがかかる点、知識やスキルが必要である点がデメリットです。

そこで本章では、「コストを抑えられる」「簡単に使用できる」の観点から、データビジュアライゼーションにオススメのツール・ソフトウェアを3つ紹介します。

  • trocco®
  • Tableau
  • Excel

trocco®

弊社が提供するデータ分析基盤構築サービス「trocco®」は、BIツールで分析するまでのデータパイプラインの構築を、ほぼノーコードで実装可能です。

社内に散在する各サービスのデータをひとつのDWHへと集約し、DWHとBIツールを連携させることで、データパイプラインの管理・運用もしやすくなります。

連携できるBIツールの種類も豊富なため、自身の使い慣れているBIツールで、データビジュアライゼーションを遂行していくことが可能です。

またtrocco®の利用により、普通ならば多大な労力を要する「分析基盤の構築」を簡単に実施できます。本来価値のあるデータの可視化・分析に時間をさけるようになるでしょう。

trocco®はクレジットカード登録が不要のフリープランを提供しています。興味のある方はぜひお試しください。

https://trocco.io/lp/inquiry_free.html

Tableau

Selesforceのグループ企業であるTableauは、比較的後発のBIツールで、近年多くの企業で取り入れられています。

データ分析・可視化を担う「Tableau Desktop」のほかに分析前のデータ加工を行う「Tableau Prep」や、作成したダッシュボードを共有する「Tableau Online」など、トータルにデータ分析をサポートする機能を備えている点が特徴です。

Tableauは複雑かつ大量のデータを可視化することに特化したツールです。ツールひとつで、データ分析のサイクルを回せるようになります。

多少のコストがかかっても高機能なツールを使いたいという方はTableauがオススメです。

Excel

ExcelをBIツールとして使うメリットは、身近なソフトウェアである点でしょう。

多くの企業で標準的に使用されておりそのままBIツールとして活用すればよいため、上記のようなBIツールを改めて導入するケースと比較するとコストを抑えられます。

またカスタマイズが容易である点も特徴です。Excelは表計算ソフトウェアであるため、関数やマクロなどの機能が搭載されています。それらの機能を使いこなすことで、目的とする情報に合わせてカスタマイズができます。

たとえば、合計値を計算するSUM関数、特定の文字列が入力されたセルの数を返すCOUNT IF関数、条件に合うデータを自動で入力するVLOOKUP関数などはデータ分析でよく使われる関数です。

新たなBIツールを導入するコストを削減したい方やデータの可視化に慣れていない方は、Excelでのデータビジュアライゼーションがオススメです。

膨大なデータの可視化にはBIツールが欠かせない

BIツールを用いることで、専門的な知識がなくともビッグデータに対して高度なデータ分析が可能です。もちろん、小規模なデータの分析にも、BIツールは役立ちます。

Excelとは異なり、BIツールは日々のレポート作成を自動化でき、定常的に発生していた作業コストのカットが期待できます。

またデータの絞り込みなどの各種設定も、複雑な関数を使わず画面上のクリックで済みます。データの可視化に慣れていない方でも容易に扱えるでしょう。

くわえてBIツールは、一度データソースとの接続が確立すると、自動でデータをアップデートし、ほぼリアルタイムに近い精度でデータを可視化します。状況に応じた柔軟かつ適切な意思決定が可能になるのも、BIツールの強みです。

BIツールは、膨大なデータを効率的に扱ううえで欠かせない存在となります。ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

本記事では、データビジュアライゼーションの必要性や具体的な方法をご説明しました。

ビッグデータの分析に頭を抱えている方や、ビジネス活動でより迅速な意思決定を実現したいと考えている方は、ぜひデータビジュアライゼーションを進めてみてはいかがでしょうか。

しかしデータの可視化をしていくうえで、ボトルネックとなる「データ分析基盤の構築」に時間を割いてしまっては、本末転倒です。

そのような課題を解決するのが、弊社の提供するtrocco®です。BIツールで分析するまでのデータパイプラインの構築を、ほぼノーコードで実現します。その結果、データの分析結果の読み取り・運用という真に価値ある部分にフォーカスできるようになります。

データの連携・整備・運用を効率的に進めていきたいとお考えの方や、プロダクトにご興味のある方はぜひ資料をご覧ください。

trocco® ライター

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