『eギフトを軸として、人、企業、街の間に、さまざまな縁を育むサービスを提供する』というコーポレート・ビジョンのもと、個人向けのカジュアルギフトサービス「giftee」を展開する株式会社ギフティ。

2019年9月に東証マザーズへ上場し、翌2020年に東証第一部へ市場変更した同社では、同年12月に、機能とユーザビリティの拡充・強化を目的に「giftee」のリニューアルを実施した。もともと個人向けのサービス「giftee」のシステムの上に、法人向けのサービス「giftee for Business」のシステムが構築されていたため、両者のデータベースは統合されていたが、それぞれのサービス成長に伴うシステム拡張に配慮し、リニューアルにあわせて分けて運用することになった。その結果、個人向けサービス「giftee」が新旧2つのデータベースに分かれたため、データ分析をする際にはデータアナリストによるデータ処理が必要になったという。そこで新旧のデータベースを統合、整理するために導入されたのが「trocco®」だ。取り組みの背景にあった課題や効果、今後の展望についてお話を伺った。

動機・課題
  • サービスのリニューアルに伴い、データベースを分ける必要が生じた
  • 2つのデータベースから情報を出力するために、手間と時間が掛かっていた
  • データにアクセスできる人が限られていた
目的
  • 新旧のデータベースをETLツールで統合したい
  • データアナリストに依頼するデータ処理業務を軽減したい
  • 社員の誰もがデータにアクセスできる環境を構築したい
導入効果
  • 新旧データベース・GAのデータは、すべてBigQueryに集約し、データ統合を実現
  • データ出力に掛かっていた手間と時間が1/5に
  • 誰でもデータにアクセスできるようになり、施策のスピードが向上

※GA=Google Analytics

導入のきっかけ

データベースが2つに分かれたことで、分析には手作業によるデータ処理が必要に1,000万規模の試算も

株式会社ギフティ 取締役CTO
柳瀬 文孝 様
「trocco®」導入の背景をお聞かせください。

籠橋 香歩 様(以下、敬称略):2020年12月に個人向けカジュアルギフトサービスの「giftee(ギフティ)」を大幅にリニューアルしたことがきっかけです。このリニューアルでは、裏側で法人向けサービス「giftee for Business」のデータベースとの分離を計画していたため、それに伴いデータベースも新しく稼働させることになりました。

リニューアルを岐点に2つに別れた新旧のデータベースを都度手作業で統合したうえでデータ解析を行うため、かなりの時間を要していました。そこで旧データベースと新しく稼働し始めたデータベースを統合していくことになりました。

サービスをリニューアルされた理由をお聞かせください。

柳瀬 文孝 様(以下、敬称略):弊社はもともと個人向けサービス「giftee」のシステムの上に、法人向けサービス「giftee for Business」のシステムを構築していました。当初はカジュアルに始めた法人向けサービスだったのですが、想定よりもご好評いただけたため、システムを拡張する必要がでてきたのです。

法人向けシステムを柔軟に構築し、余裕のある運用をしていくためにはデータベースと基盤を分ける必要がでてきたことが、リニューアルの一つの要因になります。

データベースが2つに分かれたことで、どのような弊害があったのでしょうか。

籠橋:新旧それぞれのデータベースからデータを引っ張ってPython上で処理したり、ダッシュボードツールのRedashで何重にもクエリを書いたりなど、無理矢理なデータ処理をしていました。かなり工数が掛かってしまう運用のため、「つらいな」とずっと感じており……。

そこで他部署のデータアナリストに相談したところ、「ETLツールを入れてみたら」とアドバイスを受けたのです。当時、「ETL」を某有名音楽ユニットの名前と勘違いしてしまうほど、データマネジメントの知識がない状態からのスタートでした。

ETLツールの比較検討はされましたか。

籠橋:国内外問わず、複数のツールで比較しています。また、データパイプラインを自社で開発することも選択肢の1つでした。当時在籍していたエンジニアにも手伝ってもらい、費用面と運用面の視点から検討を進めていきました。

まず自社開発の場合、コストはエンジニアの人件費だけではありますが、初めての試みだったので開発スケジュールと必要なリソースがなかなか読めませんでした。運用面では、そもそも社内に専門的なデータエンジニアがおらず、また、データマネジメント側ドメインの知識を持ったエンジニアも少なく、運用リソースが掛かってしまうことから自社開発は断念しています。

国内外のツール比較では、転送したいデータ量に対する費用面でまず比較しています。想定していた弊社のデータ転送量は、月間で1ギガバイト未満と大きい数字ではなかったため、大量のデータ転送に向いている海外ツールではコストが合いませんでした。

国内ツール同士の比較では、運用の観点から使いやすさを重視しています。弊社にはデータエンジニアがおらず、データアナリストの私だけで運用する必要があったため、操作画面が分かりやすい「trocco®」の導入を決定しました。

導入・構築について

2ヶ月で新旧データベースを統合。DWHからダッシュボードまで構築し、データの可視化へ

株式会社ギフティ 第一事業本部 giftee.com unit データアナリスト
籠橋 香歩 様
「trocco®」の導入期間をお聞かせください。

籠橋:私の想定よりも本当に短く、2ヶ月掛からずに導入できています。

その際、導入をサポートしてくれたエンジニアからは「trocco®」を絶賛する声がありました。エラーが出てしまったときに、その原因がしっかりテキストで表示されるため、設定の不具合に対してエンジニアが対応しやすいことがその理由だそうです。日々の運用でも、私がまずエラー文を確認してエンジニアへの依頼が必要かを判断できるため、とても重宝しています。

「trocco®」導入時のサポートについてのご感想をお聞かせください。

籠橋:カスタマーサクセスの方にはSlackで何度も質問させていただき、とても安心感がありました。

1番印象に残っているのは、新旧それぞれのデータベースで違っていたタイムゾーンの統合処理です。ご相談したところ、データの出力設定をDatetime型に変換するだけで解決するとアドバイスいただき、想像に反してぱっと解決できました。

新旧データベースの統合は、どのように設計されたのでしょうか。

籠橋:新旧のデータベースとGoogle Analyticsのデータは、すべてBigQueryに飛ばし、DWH(データウェアハウス)とデータマートを構築しています。ダッシュボードには、Google データポータルを使用し、日々のアクセス数やユーザー数、送られたギフト数を可視化しています。

「trocco®」の導入で工夫された取り組みがありましたらお聞かせください

橋:「データベースを繋げることで、事業部全体が楽になる」というメリットをしっかり伝えていました。Google データポータルで構築したダッシュボードは事業部に共有していますので、例えばマーケティング施策の担当者は、私にデータ抽出の依頼をせずとも、自分自身でキャンペーン結果を即座に確認できるようになります。また、事業部のみならず、全社にも公開しています。

ツールは導入時だけでなく、定常的に費用が掛かってきますので、日々の業務の中で活用のメリットをしっかり伝えていくことは重要だと思います。

導入後の効果

データ出力に掛かっていた手間と時間が1/5に!人とデータの距離も近くなった

「trocco®」導入の成果をお聞かせください。まず、新旧のデータベースを統合するにあたって抱えていた課題は解決できましたか。

籠橋:ほぼ解決できました。データ処理をするためにPythonを触っていた回数は圧倒的に減り、ちょっとしたデータの出力に掛かっていた手間がなくなっています。

例えば、繁忙期のバレンタインキャンペーンの振り返りをする際、以前であればデータを出力するだけで10時間も掛かっていました。今では2時間も掛からず、1/5まで短縮されています。また、ギフトを出品いただくブランド様への営業活動に使用するデータを出力することも増えました。

これは嬉しい悲鳴なのですが、データをすぐに出せるようになったことで、これまで以上に深いインサイトを得るためのデータを求められることが多くなっています。以前よりも分析できる幅が広がり、サービス全体にも好影響が出ているのではないでしょうか。

「trocco®」の導入で印象に残っているエピソードをお聞かせください。

籠橋:私が個人的に感動した話があります。「giftee」の部署メンバーがSlackのグループチャット内でボソッと独り言のように「データポータルから必要なデータを全部取ってこれた」と投稿していたのです。誰に宛てた投稿でもなかったのですが、それを見た瞬間「やって良かったな」と実感しました。

以前の状態であれば、部署メンバーがデータを取得するにはまず私への依頼が発生し、手間と時間が掛かっていました。今では私への依頼を経ず、また、特に操作マニュアルを確認せず、自分自身で簡単に確認できるようになっています。

事業部でデータ活用に対する考え方に変化はありましたか。

柳瀬:当時はまだデータエンジニアリング領域の知見がある社員が足りていない状態だったため、籠橋のような特定の社員に負担が偏っていました。

しかし今回の取り組みでエンジニアのリソースをあまり使うことなく、データ活用の仕組みを社内に構築できたことは、非エンジニア社員とデータの距離を縮めることに繋がりました。これを機に「データは遠いもの」という感覚を社内全体から取り除いていきたいですね。

今後の展望

ECとは全く違うeギフトプラットフォームを、データの力で成長させていきたい

今後の展望をお聞かせください。

籠橋:全社としては、多彩なギフトやコンテンツを揃え、もっとギフトの流通量を増やしeギフトプラットフォーム事業を拡大していきたいです。オンライン上のコミュニケーションの中でより気軽にギフトを贈りあっていただくためにも、オンラインサービスであることの強みを活かしていく予定です。例えば、企業のWebプロモーション施策とタイアップしたり、ギフトを贈るまでの手間を減らしたり、ギフトを通してステークホルダーがハッピーになれるサービスにしていきます。個人向けサービス「giftee」では、ギフトを贈り合うためのきっかけとなるようなキャンペーンを定期的に実施しています。今後はギフトの充実や機能追加などを行い、もっとeギフトを身近なものに感じていただきたいですね。

今後どのようにデータを活用していく予定なのでしょうか。

籠橋:私が普段データを触る中で、一般的なECとeギフトはやはり全くの別物と感じていまして、ECでは通用する施策やキャンペーンだと効果がないことが多々あります。これは「自分のために買うのか」「人のために買うのか」の差であり、買ってくださった方のデータ分析だけでなく、贈られた側のデータ分析も必要だということです。

どのような動機から、どういう経路を辿ってギフトを選んでいるのか、データを用いて明らかにしていきたいですね。そのためにも、今後さらにSNSのデータとも連携しながら「trocco®」活用を進めていきたいですね。

今回の取り組みを振り返って「trocco®」はどのような役割を果たしましたか。

籠橋:データ活用を進めていくための「補助輪」のような存在、でしょうか。最初は「trocco®」がないと自走してデータ分析ができなかったものの、慣れてくると自由にデータにアクセスできるようになり、自転車を走らせるようなスピードで事業を進められていると感じています。

株式会社ギフティ

https://giftee.co.jp/

業種 IT業界
設立 2010年8月10日
従業員数 210名(2021年12月31日現在)
事業内容 インターネットサービス事業
目的
  • 自社サービスのリニューアルに伴う、新旧データベースの統合
  • 分析業務オペレーションの効率化
データソース
自社サービス向けの複数データベース、Google Analytics
データ転送先
Google BigQuery