「生まれるべきものが生まれ 広がるべきものが広がり 残るべきものが残る世界の実現」をビジョンに掲げ、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake(マクアケ)」を運営する株式会社マクアケ。各地の事業者による出品が増え急成長を続ける同社では、自社サービスにかかわるデータにアクセスできるメンバーが限られており、データ分析などの作業にエンジニアの手間と時間が費やされているという課題があった。そこで、データの利活用の第一歩としてデータ分析基盤を整えるために導入されたのが「trocco®」だ。取り組みの背景にあった課題や効果、データ活用における今後の展望についてお話を伺った。

導入のきっかけ

データにアクセスできるメンバーが限られていることに危機感を持った

株式会社マクアケ
開発本部
山田 史朗様
お二人の業務内容をお聞かせください。

山田 史朗様(以下、敬称略):私は開発本部のIT戦略チームに所属しています。会社のIT資産の導入・検討や、パソコン、ディスプレイといったハードウェアの購入、キッティング、社員のアカウント管理と合わせて、他部門の業務改善リクエストなどに応えるのが主な業務です。

菊川 裕也様(以下、敬称略):私はフリーランスのエンジニアとして活動しており、マクアケ社には6年ほど業務委託として在籍しています。現在はデータプラットフォームチームのチームリーダーを務めています。

データプラットフォームチームはもともと3、4年前に私が1人で立ち上げました。2022年9月までずっと1人の状態でしたが、現在は5名ほどが在籍しています。主な業務はデータプラットフォーム(=データ分析基盤)の構築です。さまざまなデータストアからデータを持ってきてデータレイクを作り、そこからデータウェアハウスにデータを入れて必要があればデータマートを構築していくこともやっています。

もともと社内にはデータストアがたくさんありましたが、データを分析、活用できる環境が十分ではありませんでした。データ活用の状況をマイナスからゼロに、そしてプラスにすることが大きなミッションです。

「trocco®︎」導入以前に抱えていた、データ活用の課題をお聞かせください。

菊川:データ活用の環境に危機感を覚えているような状況でした。具体的には、あちこちにデータが点在している状態だったのです。点在していたデータは、サービスの売上データ、広告データ、Webサイトのビヘイビアデータなどが挙げられます。

当時は、基幹システムやGoogleスプレッドシート、CSVファイルを自分で抽出・加工し、連携できる一部の社員だけが、統合されたデータで分析できるという状況でした。将来的にはマネジメントやプロダクト側の非エンジニアでもデータを自由に見られるようにしなければいけないと考えていたのです。

データ分析基盤を構築しようと決められたきっかけやタイミングをお聞かせください。

山田:特に危機感を持ち始めたのは、売上の拡大とともに組織が大きくなったタイミングでした。社員が50〜60名くらいの規模の時には、近くに座っているエンジニアにデータ抽出や加工を依頼していました。CTOも社内からの要望を受け、自分でSQLを書いてデータを加工し、スプレッドシートにして渡すことが日常でした。

しかし、組織や売上の規模が大きくなるにつれ、売上を分析をしなければ、という考えが強まりました。これまではそれぞれのチームが数値を管理・報告しておりデータは分散していましたが、今後も売上を伸ばしていくためには、部門ごとに管理される数字を統合してそれぞれの数字の関連性の把握が必要になると判断したのです。

導入・構築について

日本語によるサポート、データ転送先の追加に期待して「trocco®︎」の導入を決定

フリーランス
システムエンジニア
菊川 裕也様
データ分析における課題に対して、どのようなアクションを取られたのでしょうか。

菊川:まずは、全社としてデータ分析をすすめる第一歩として、EmbulkとDigdagを活用しながらデータ分析基盤を1年弱ほどで整備しました。上手くいかないことも考慮して、なるべくコストをかけずに自前で構築しようと判断してのことでした。

しかし、エンジニアでないと触れないという状態はあまり変わらず、どうにかしてビジネスサイドの社員でもデータ転送ができないか検討していました。その流れで「データ基盤の構築」とインターネットで検索して出会ったのが「trocco®︎」です。

ETLサービスの比較検討は、どのように進めたのでしょうか。

菊川:他社ツールと比較して、「trocco®︎」は日本発のサービスであったことが大きなポイントでした。さまざまなツールを探すなかで、CTOの生内が一言「日本語で使える良さそうなETLサービスがようやく出てきた」とSlackでつぶやいたことが印象に残っています。日本発のサービスであれば日本語サポートが受けられますし、ツールの改善や問い合わせに対しても丁寧かつ迅速なレスポンスが期待できます。

その他の外せない要素として、UIが整っており、エンジニアでなくても画面を操作してデータをつなぎ込めることが第一条件でした。加えて、操作するメンバーが増えたときに活用できるチーム機能や、つなぎ込めるデータのコネクタが豊富であることも、導入の要因となっています。

山田:「trocco®︎」を導入する前のお打ち合わせの場で、要望があれば今後コネクタを増やしていく予定だとお聞きしたことも高評価でした。実際に弊社が「trocco®︎」を導入した後にCriteoのコネクタが開発されています。

その後トライアルを実施し、CTOも直接「trocco®︎」を利用して無事に社内合意を得ることができました。

「trocco®︎」導入のスケジュールを教えてください。

菊川:トライアル期間で操作方法や初期設定を理解できていたため、2、3週間で導入が完了しました。

その後、開発本部のメンバー全員に周知し、これまでデータ抽出や加工を行っていたデータプラットフォームチーム以外のメンバーでもデータの設定ができる環境を整えました。

当初、「trocco®︎」の転送元として設定していたのは、「Makuake」の基幹システムのデータが入っているMySQL、です。その後、primeNumber社の担当者にお願いしてCriteoのコネクターを開発していただき、導入しました。また、Zendesk Supportを転送元に追加していただき、弊社でも活用しました。
山田:Zendesk Supportの転送対応をはじめ、技術的な質問や要望に対して丁寧にご回答いただけたことが高評価です。質問を投げかけると、たいてい翌日までにご返信いただけました。

「trocco®︎」のプランを「Light」から「Standard」へ変更いただいた理由をお聞かせください。

山田:「trocco®︎」の活用が進み、データの転送元、転送先コネクタの数がLightプランでは足りなくなってしまったからです。データを取り込む転送元と、データを転送する転送先コネクタ数を合わせると、社内からの要求に対応しきれなくなったのです。

現在ではMySQL、BigQuery、S3に加え、Zendesk Supportやスプレッドシート、Criteoの広告データ、kintoneなどを転送元、転送先コネクタに設定しています。

導入後の効果

毎月5時間かけていた単純作業がなくなり、自動で最新の情報が更新されるように

スプレッドシートを見ながらお話しする山田様と菊川様
「trocco®︎」導入後の成果をお聞かせください。

山田:以前は、基幹システムや広告のデータを書き出し、スプレッドシートに貼り付けることが毎朝のルーティンになっていました。作業は毎日10〜30分はかかっていたと思います。1ヶ月単位で計算すると、毎月5時間も単純作業に時間を費やしていたことになるのです。「trocco®︎」導入後はこの手間と時間がなくなり、スプレッドシートを開いたら自動でデータが更新されているようになりました。

そもそも「trocco®︎」を導入していなければ、ここまでのデータを転送して分析基盤を構築することはできませんでした。

社内からは、どのような評価がありますか。

山田:営業担当者の便利ツールとして、とても優秀なのではないでしょうか。これまでは基幹システムに各種データが格納されており、検索性があまり良くない状態でした。しかし現在では、「trocco®︎」でデータを繋ぎこみ、類似案件の過去の実績などをLookerを確認しながらご提案ができるようになっていると聞いています。明確な数字にこそ出ていませんが、間接的に売上に貢献していると思います。

また、CTOにとっても「trocco®︎」を活用することは日常の業務の一環になっているものだと思います。たとえば「新しいコネクタを追加したい」「『trocco®︎』の新しい機能を使いたい」とリクエストすると、今後必要になるものであれば積極的に承認しておりました。

今後の展望

データ活用の体制が整い、新しい活用方法や、ビジネスサイドへの展開を模索したい

今後の展望について語る山田様
今後の展望をお聞かせください。

山田:「trocco®︎」の導入により、少しずつデータを活用する体制が整ってきました。次のステップとして、データをより上手に活用するための工夫や、新しい活用方法の要望が現場から寄せられることを期待しています。そのために、ビジネスサイドの社員にも、「データ分析基盤の裏側にはこのような仕組みがあるんだよ」と説明することも検討しています。

今回のお取り組みを振り返って、「trocco®︎」はどのような企業におすすめできそうでしょうか。

菊川:ゼロベースでデータ分析基盤の構築を始めたいと考えている企業には、弊社のように自力でまず構築するのではなく、最初から「trocco®︎」を活用してみてはいかがでしょうか。最近、無料の「Free」プランの提供を開始されたので、手軽に始められると思います。

山田:中小企業も大企業も、これからの時代は自社のローカル環境でデータサーバを一元的に持つことが少なくなってくると想定されます。代わりに適材適所なSaaSサービスを複数導入することになるのですが、そうなるとデータがバラバラに保管されてしまうという新たな課題が生じます。

だからこそ、「trocco®︎」でデータを集約し、可視化しやすいデータ分析基盤を構築していくことが必要になってくるのではないでしょうか。

株式会社マクアケ

https://www.makuake.co.jp/

業種 IT業界
設立 2013年5月1日
従業員数 ---
事業内容 アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」を中心とした各種支援サービスの運営、研究開発技術を活かした製品プロデュース支援事業