愛知県岡崎市に本社を置き、千葉や福岡を含め30店舗(2021/12/1現在)を展開している株式会社不動産SHOPナカジツ。12年連続で売上を増進、2020年度は238億円規模まで成長している。

同社では急成長の一方で、CRM(顧客管理ツール)やSFA(営業支援ツール)の自社開発といったIT推進とDXに積極的な投資をしており、2020年には社内のデータを整理、統合するために「trocco®」を導入している。また、「trocco®」の導入にあたってはソリューションサービスによる、データ活用の伴走支援を活用した。お取り組みの背景と効果、今後の展望についてお話を伺った。

動機・課題
  • 蓄積されていた顧客データや取引データを活用できていなかった
  • リアルタイムでデータを分析できず、経営の意思決定スピードが遅くなっていた
  • 一気通貫でデータを統合、整理するためのノウハウやリソースがなかった
目的
  • 過去のデータを整理し、BigQueryのDWHへデータが集まる体制の構築
  • SQLを使わなくとも、誰でもアドホック分析ができる環境
  • 全店舗の営業個人が成績データをいつでも参照できる状態
導入効果
  • 社内のすべてのデータがBigQueryに集まる体制を構築
  • 10営業日掛かっていた分析業務が、現在では4, 5営業日で完了
  • 経営陣や各支店長の振り返りで、より細かくデータを深掘りできるように

導入のきっかけ

データが点在する構造のため、経営の意思決定スピードに悪影響が

「trocco®」の導入以前はどのような課題があったのでしょうか。

橋爪 幹人 様(以下、敬称略):弊社で使用しているSFAとCRMに、これまでの顧客データや取引データが蓄積されていたのですが、それらの活用方法を明確にイメージできていませんでした。データ活用がうまくできないとリアルタイムの数字とその要因が特定できないため、経営の意思決定スピードがどうしても遅くなってしまいました。

弊社ではSFAとCRMの機能を持つ「CHANPON」というシステムと原価管理の機能をもつ「Yakisoba」というシステムを自社開発しており、トータルで1億円以上の予算を投じています。それぞれのシステムにデータを格納していたため、一気通貫でデータを確認し、活用していくことができない仕組みだったことが課題でした。

経営戦略部 経営企画課 香椎様
「trocco®」の導入以前は、どのような方法でデータを参照していたのでしょうか。

橋爪:「あるデータを一覧で表示できるようにしたい」という要望があった場合、システム内の管理画面で表示できるようにしたり、Excelに出力できるようにしたりと、その都度にシステムを開発していました。しかし、それには時間も手間も掛かってしまいます。

やはり現場の判断で、システムの管理画面を自由に変更し、必要なデータを出力したいというニーズが高まってきたのです。そのためにも自前でデータ分析の基盤を構築したいと考えました。そこでDWH(データウェアハウス)のような仕組みを社内に構築してそれぞれのツールと連携させることになったのです。

過去にBIツールを導入されたことはありましたか。

橋爪:Excelでのデータ集計に1週間も掛かってしまう状態だったため、外資系のBIツールを導入していました。しかし、画面表示にすら時間が掛かってしまっていたのです。「Yakisoba」「CHANPON」といったシステムから直接データを抽出する仕組みで、システム側の稼働状況に依存したためにデータ抽出も遅くなり、BIツールの能力を十分に活かしきれていませんでした。

今回の取り組みのゴールとして掲げたのは、各営業スタッフや経営陣に対してデータを見える化し、そのためのシステムをスムーズに稼働させることでした。

「trocco®」を選んだ理由

取り組みに対するサポート体制が導入の決め手に

弊社にお問い合わせいただいた理由をお聞かせください。

橋爪:ETLツールに関しては「trocco®」以外は思いつきませんでした。また、ETLツールをただ導入するだけでなく、弊社のデータマート構築にご協力いただける企業を探していました。社内にデータマートに関するノウハウを持つ開発者はいませんので「trocco®」に合わせたコンサルティングサポートとして、ソリューションサービスがあることも非常に魅力的でした。

導入の決め手をお聞かせください。

橋爪:取り組みに対するサポート体制です。弊社もデータに対する理解はあったのですが具体的なデータマート作成までは知見がなかったため、丁寧にご協力いただけることは安心でした。

ご提案の際にもいろいろと突っ込んだご相談をさせていただいたのですが、的確に具体的なご提案もいただけました。そのおかげもあり、データ活用における最終的なゴールもイメージできるようになったのです。

執行役員 橋爪様

導入・構築について

4ヶ月掛けてデータ分析基盤を構築。ソリューションサービスによる伴走支援を活用

ソリューションサービスの流れについてお聞かせください。

橋爪:全体スケジュールとして、4ヶ月で以下のように進行しました。

  1. 要件整理・方針検討
  2. データ移行・データマートの設計/構築
  3. レポート作成・検証

親身にご対応いただき、ご担当の方とディスカッションを重ねながら体制を構築していきました。並走するようにサポートいただき、ときには積極的なご提案もいただいたと記憶しています。

データマートの設計でこだわったポイントをお聞かせください。

橋爪:改善後のデータ統合の構成では、各システムのデータベースからBigQueryのDWHにデータを定期収集し、そこからデータマートを分けてBIツールに高速参照させています。

特にデータマートの設計部分では、なるべく一元的に管理ができるようこだわっています。同じような情報を出しているデータマートがいくつも散在してしまうと、データ出力のロジックを変えるときに全部の設定を変える必要が出てしまいます。

そうならないために共通にできる部分は共通化させて、BIツールに表示させるときだけデータマートに切り出す、つまりデータのズレをなくす設計にお願いしています。その他にも、アドホック分析ができるような仕組みにもしていただきました。

trocco®︎導入後の構成。整備されたデータをBigQueryに集約することで参照しやすい環境に
「trocco®」でよく活用されている機能をお聞かせください。

香椎 達宏 様(以下、敬称略):データマート生成機能はよく活用しています。定例のミーティングや経営会議で参考にするデータ項目は基本的に決まっていますので、私がSQLエディタで変換処理を一度書くだけで、それ以降はSQLを使わなくとも誰でもアドホック分析ができるようになります。

SQLさえ書ければ誰でも簡単にデータマートの作成ができてしまうので、慣れるまでに時間は掛かりませんでした。

支店へのデータ活用は浸透しましたか。

香椎:支店で働く個人がデータをいつでも参照できる環境は、一部の店舗でトライアルしています。具体的には、支店に何組のお客様のご来店があり、営業個人が何件の契約を獲得したか、いつでも確認できるような環境が目標です。トライアルをしている支店で成功事例を作り、すべての現場で使われている体制を目指しています。

導入後の効果

10日掛かっていた分析業務が4, 5日に。必要なデータがすべてBigQueryへ

お取り組み後の成果をお聞かせください。

香椎:データを見える化したことによって、各支店長の振り返りの場で営業成績をより細かく深掘りできるようになりました。「他店舗や自店舗の過去の実績と比べて、〇〇の要素が弱かったので、来月から注力していきます」といった、勘と経験だけに頼らない分析ができるようになったと思います。

橋爪:経営陣では事業別に月に一度振り返りを行なっており、そのために毎回データを分析し、報告内容をまとめていました。アドホックに分析できるようになったことで、いままで10営業日掛かっていた分析業務が、現在では4, 5営業日で完了できるようになっています。データを集めるスピードが上がったことで業務に余裕が生まれ、より踏み込んだ分析までできるようになりました。

営業成績以外のシーンではどのようにデータを活用していますか。

橋爪:工事部門でもデータを活用し始めています。弊社の分譲住宅部門では、着工数と完工数といった数字をもとに、工事の進捗管理をしています。住宅工事では半年以上先を見越して資材の仕入れを行なうため、リアルタイムで進捗を把握できるようになったことで、より無駄のない計画を立てられるようになりました。

お取り組み後、一番印象に残る変化をお聞かせください。

橋爪:社内の必要なデータが、すべてBigQueryに集まるようになったことが一番大きな変化です。自社開発した会員向けアプリ「NAKAJITSU PREMIUM MEMBERS」でも、BigQueryから情報提供をしています。

社内の文化としても、データがあればBigQueryに入れるという認識が浸透してきていまして、データ活用の基盤が整えられたと実感しています。

今後の展望

営業活動の改善、そしてお客様への提供価値の向上に、データは必要不可欠

今後の「trocco®」活用の展望をお聞かせください。

橋爪:数値的な目標として、2030年に100店舗、売り上げ1,000億円を掲げており、愛知から全国へエリア拡大していきたいと思っています。店舗を増やしていくためには、店舗の営業が現在の状況を正確に把握し、自分で判断し、ベストなアクションを選択していくことが必要不可欠です。

そのためにも大きいディスプレイを全店舗に設置し、リアルタイムで売上状況やアクション状況が表示され、データをもとに現場自ら業務を改善していくような世界観を目指しています。

また、データによってお客様へ提供する体験価値を向上させていくことも必要です。規模を拡大していくなかで蓄積されていく過去の取引データを活用し、よりお客様のご要望にあった物件のご提案ができるようにしていきます。

データ活用に悩まれている企業へアドバイスをお願いします。

橋爪:せっかくデータを蓄積していても、それを分析して業務に活用していかなければ意味がありません。どうやってデータを整理し、分析、活用していくべきか、まず専門家に話を聞いてみるべきだと思います。

primeNumber社はこれまでのノウハウを蓄積されていると思いますので、他業種の事例を参考にしながら一度話を聞いてみてはいかがでしょうか。

橋爪様、香椎様、ありがとうございました。

株式会社不動産SHOP ナカジツ

https://nakajitsu.co.jp/

業種 不動産業界
設立 2006年6月
従業員数 ---
事業内容 不動産コンサルタント事業(不動産仲介事業)、 不動産リノベーション事業(中古再生事業)、新築分譲注文事業、 不動産買取事業、住宅・店舗リフォーム事業、 建物インスペクション事業、生保・損害保険代理事業 投資用不動産(アセットマネジメント)事業