デジタル化が進む現代社会では、企業の成功は往々にしてデータの活用にかかっています。その中でもデータドリブンに営業活動を行うことは、成果を上げるため効率的・効果的な営業活動を行うための重要な鍵となっています。
社内でデータの整備や活用が進む中で、「営業部門でもデータを活用しよう」という動きがある企業は増えているかもしれません。しかし、データドリブンな営業活動はなぜ必要なのか、また、どのように実践をすればいいのかを理解している営業担当の方はまだ少ないでしょう。
本記事では、データドリブンな営業活動が必要な理由やその背景にある課題から、データドリブンな営業活動を実践するメリットとデメリットを説明します。さらに、データドリブンな営業活動の実践のためのヒントも紹介します。営業の効率化と売上の向上を目指す方はぜひ最後までご覧ください。
データドリブンな営業活動の実践が重要な理由

営業活動において、データドリブンなアプローチが不可欠な理由は二つあります。
一つ目は、データドリブンな営業活動を行うことで、業務の効率化と成約率の向上が期待できるためです。
これは、日々の営業活動をデータとして記録し、徹底的に分析することで、顧客のニーズやターゲット市場、見込み客の特性、成功と失敗のパターンを明確に把握できるということです。
この分析結果を活用し、次の営業戦略を戦略的に立案すれば、利益を最大化する最適なアプローチが明確になります。
二つ目に、データドリブンなアプローチは、企業全体で採用が進んでいるトレンドであり、競合と差を付けるには欠かせない手法となっているためです。
競争力を維持し業界で一歩リードするためにはデータドリブンなアプローチが欠かせません。しかし、現実には多くの企業がデータドリブンな営業に取り組めておらず、データ分析や活用のスキルが不足しているという課題が依然として存在しています。
営業部門は企業経営において最も重要な「売上」を確保する部門であり、また、顧客との接点が最も多い部門でもあります。このような特徴を持つ部門にデータドリブンなアプローチを採用することで、よりスピーディで効率的な営業活動を実現し、競合他社に先駆けて顧客のニーズに応えることが可能です。
それ以外にも、データドリブンな顧客へのアプローチは新たな営業方法の実現にも寄与し、顧客訪問を最小限に抑えながら成果を上げることができます。
営業・営業企画部門が抱えがちなデータに関する課題

いざデータドリブンな営業活動に挑戦しようとしても、その体制を構築することは容易ではありません。営業や営業企画部門はデータに関する下記のような課題を抱えることが多く、データの活用がうまくいかないということもあります。
ここでは、営業部門が抱えがちなデータに関する課題を紹介します。
活動の成果がわかりづらい
営業活動の成果を正確に評価することは難しいことです。
訪問や電話などによる営業活動と売上データの紐づけがされていないことは少なくなくどのような関連があるのか不透明なことは往々にしてあります。その結果、どの活動が売上にどれだけ寄与しているのかを正確に判断することが難しく、営業の成果やその背景を明らかにするのは簡単ではないのです。
他部門との連携がしづらい
昨今のデジタルのビジネス環境では、営業部門は他部門との密接なな連携が不可欠です。しかし、実際にはその実行が難しいという企業もあるでしょう。
顧客行動のオンライン化が進む中、営業活動とマーケティング活動との連携が不十分であるため、顧客に最適な価値提供が難しくとなっています。
さらに、部門間で異なるKPIやデータをもとに業務を遂行しているため、共通の目標や戦略についての認識のすり合わせが円滑にすすまず、これが連携の障壁となっています。
成果報告のレポートに時間がかかる
営業部門の成果報告は、多くの時間と労力を要することが多いでしょう。
、関連データの効率的な可視化が難しく、それに伴いレポートの作成に手間がかかっていることが主な原因です。この過程での時間の消費は、より戦略的な活動へのリソースを奪ってしまうこととなり、結果として営業部門全体の効率を低下させる一因となっています。
上記のような課題にアプローチすべく、データドリブンな営業を行うことが求められます。
データドリブンな営業活動を行う5つのメリット

データドリブンな営業活動を行うメリットとしては、下記5つが挙げられます。
ファネル分析がしやすくなる
営業ファネルの透明性が向上し、各段階での進捗を明確にできることが挙げられます。
これにより、見込み顧客がドロップアウトするフェーズや効果的なアプローチを特定し最適な戦略の策定に役立てられます。
成約率の予測ができる
過去のデータにもとづいて取引の確立を図り、推定成約率を算出できます。
この予測は、営業チームがどの見込み客に焦点を当て、どのリードを優先すべきかを判断する際に不可欠です。その結果、時間と労力の最適化を図り、成約率を向上させる手助けになります。
面会や商談数の最適化ができる
さまざまな営業活動の最適化ができます。
どの見込み客と面会し、どの商談を追求するべきかをデータに基づいて決定できるため、無駄な商談や面会を減らし、効率を高めることができます。
見込み顧客の傾向をつかめる
顧客データの分析により、購買意欲に影響を与える要因を把握できます。
これをもとにに、パーソナライズされたアプローチを提案し、見込み客との関係を強化できます。また、未開拓の販売網や顧客ニーズを捉えることができ、隠れたニーズに応える新たな施策提案にもつながります。
属人化の解消につながる
データドリブンな営業アプローチは、経験や勘に頼る従来の属人的な方法の克服につながります。
データにもとづく意思決定は客観的であり、異なる担当者間でも一貫性を確保できます。もし経験豊富な担当者が組織を離れた場合でも、用いていたデータを共有することによってナレッジを受け継ぐことができ、同じ品質での意思決定を行うことができます。
また、それ以外にも、蓄積されたデータやナレッジを元に優秀な営業メンバーの量産が叶います。
属人化のリスクを軽減することによって、持続可能な営業プロセスの確率が期待できます。
データドリブンな営業活動を行うの3つのデメリット

一方で、データドリブンな営業活動を行うにあたっては下記3つのデメリットも挙げられます。
環境構築やツールにコストがかかる
第一に、データドリブンな営業を実現するためには、適切なハードウェア、ソフトウェア、およびインフラストラクチャの整備が不可欠です。データの収集、保存、処理、分析に使用するツールやシステムの導入に加え、データセキュリティの向上、プライバシー保護の対策にも費用がかかります。
とくに小規模な企業やスタートアップにとっては、これらの初期投資は負担となるでしょう。
業務プロセスの変更が必要になる
データドリブンな営業の実践には既存の営業プロセスの見直しが伴います。
これによりメンバーは新しいスキルやツールの習得が必要になり、トレーニングや教育が必要になる場合もあるでしょう。この変革には社内文化の変化や適応が求められ、推進する立場の人は強いリーダーシップが求められます。
データを扱える人材が必要になる
第三に、データドリブンな営業活動を成功させるためには、データ分析やデータ管理に関するスキルを持った人材が不可欠です。
しかしこのような専門的なスキルを持つ人材は市場で非常に競争が激しく、採用や育成に多くのリソースが必要となる可能性があります。そのため、新しくデータの専門家を採用したり既存のメンバーへの教育を行ったりする必要がでてきます。
営業・営業企画部門でデータを活用している事例2選

実際に、データドリブンな営業アプローチを実践している2つの事例を紹介します。ここで取り上げる事例はいずれも株式会社primeNumberが提供している分析基盤の総合支援ツール「trocco®️」を用いることによってアプローチに成功しています。
株式会社メルカリ
まず、株式会社メルカリの事例を紹介します。
同社のデータ活用においては、ビジネス面の課題と技術面での課題の2種類の課題がありました。
まず、ビジネス面では、営業活動に対するインセンティブ設計が決済サービス導入に基づいていましたが、その後の利用促進を考慮して設計を再構築する必要がありました。
しかし、営業担当とソフトウェアエンジニアのデータが分断されていたため、利用状況が把握できない状態でした。
技術面での課題としては、データエンジニアの不足が挙げられていました。データの統合と連携には多くの工数が必要で、データエンジニアの採用が難しく、内製が困難だったという訳です。
これらの課題を解決するため、下記3つの検討が行われました。
- データの統合と連携をどのように行うか
- 内製するか外部ツールを使用するか
- 使用する外部ツールの選定
まず一つ目については、既存のGoogle Cloud内でのデータ統合成功例を活かし、SaaSデータを直接BigQueryに統合する方法を選択しました。
二つ目については、外部ツールの使用を決定し、3についてはtrocco®️と BigQueryを掛け合わせて導入をすることにしました。
三つ目に、ツールの選定基準としては品質、コスト、利用可能性、対応データソースの多様性が挙げられました。trocco®️が選定された具体的な理由は、品質、コスト、利用可能性、対応データソースの面で優れており、日本発のサービスであり、セキュリティ対応も充実しているという評価があってのことでした。
同社がtrocco®️を実際に導入したことにより、データエンジニアの工数削減、営業CVRの向上、データ連携のリードタイム短縮、データドリブンな文化の促進が実現しました。
詳しくはこちらの記事をお読みください。
株式会社インボイス
続いて、株式会社インボイス(以下、インボイス)の事例を紹介します。
同社では、営業と顧客管理のデータ連携に課題が生じ、スクラッチ開発には高い開発コストと時間がかかる見通しだった背景から、trocco®の導入を検討しました。
以前から利用していたツールではツール間の連携ができていなかったため、データ管理が分散していました。しかし、trocco®のデータ統合をスムーズに実現し、開発コストと時間を削減できる箇所を魅力的に思い、他社ツールとの比較なしに導入を決定しました。
実際にtrocco®を導入したことにより、リアルタイムでデータ連携が可能となり、インサイドセールスの担当者に新規リード情報を即座に提供できるようになりました。その結果、アプローチのタイミングを最適化し、コンバージョン率を向上させました。
全体的な結果として、コンバージョン数は当初の50倍近くに増加し、データ連携業務にかかる時間も劇的に削減されました。また、お客様の情報をスムーズに確認できることから、営業の成功確率が向上し、インサイドセールスのモチベーションも高まりました。
この事例の詳細は以下をご覧ください。
データドリブンな営業活動をするための6つのステップ

データドリブンな営業アプローチをする際には、下記6つのステップを踏むとスムーズに進みます。
ステップ1: 目標の設定
第一に、何を達成したいのか、明確な目標の設定をするとよいでしょう。具体的には、売上増加、リード獲得の向上、営業サイクルの短縮などについて数値目標を定めることで、営業部門で行う全体の方向性が明瞭になります。
ステップ2: データの収集
第二に、データの基盤を築くために、営業活動に関連する情報を収集します。具体的なデータとしては、顧客情報、売上データ、市場調査データ、競合情報などが含まれます。データの品質を保つためには、データクレンジングや名寄せプロセスが必要です。
データクレンジングの概要や実践方法については『データクレンジングとは?エクセルのやり方や手順、ルールをわかりやすく解説』で紹介しています。
ステップ3: データの整理
第三に、収集したデータを使いやすく整理することで、統一的な管理ができるようにしましょう。整理とは、データ統合ツールやETLツールを利用して、データの整合性を確保することです。
ETLツールについては『ETLツールとは?おすすめのETLツールの選び方をご紹介』で解説していますのでこちらもご確認ください。
ステップ4: 分析のためのツールの導入
第四に、収集したデータを有益な情報に変換するために、データ分析ツールの導入を行います。具体的なツールとしては、ビジネスインテリジェンス(BI)ツール、データ可視化ツール、データウェアハウス(DWH)などが含まれます。これらのツールを使用することでより効率的にデータを深堀りでき、洞察を得ることができます。
ステップ5: データの分析と活用
第五に、分析の結果得られたデータからインサイトを導き出し、営業戦略の策定または調整を行います。具体的には、顧客セグメンテーション、売上予測、営業活動の優先順位付けなどについて、データに基づいた意思決定を行い、営業プロセスの最適化を実行します。
ステップ6: 結果のモニタリングと改善
最後に、データの分析と活用を行った結果を定期的にモニタリングし、必要に応じて調整や改善を行います。このような改善・調整を行うことにより、データドリブンなアプローチを継続的に最適化し、営業成果の最大化が図れます。
データドリブンな営業活動を実践するならtrocco®がおすすめ

関連するデータを連携させ、複合要因の分析ができる
trocco®を利用すれば、MySQLなどの関連データベースから抽出した売上データ、データベース・CRM・その他のアプリケーションから抽出した顧客データ、SFA(営業支援システム)・MA(マーケティング自動化ツール)から抽出した営業活動情報など、関連する複数のデータを一元的に管理し、連携させることができます。これにより、多角的な分析が可能となり、ひとつの情報では辿り着けなかった隠れたニーズや見込み顧客などを明らかにすることができます。
部署を超えてのデータ集約・モニタリングができる
部署を超えて、さまざまなメンバーがデータに横断的にアクセスできるようになります。これにより、組織全体でのデータの一貫性が確保され、誤解やミスを減少させることができます。さらに、必要なデータが自動で連携されるため、全メンバーが同一のデータを参照でき、データの集約・モニタリング作業の効率化を図れます。す。
データの統合や数値の可視化の手間を減らせる
trocco®の導入によりデータの一元化を実現できます。常に同じデータにアクセスでき、データ統合やBIツールでのデータの可視化がスムーズになります。たとえば、経営指標のダッシュボード化、営業活動ファネルの可視化などが容易にできるようになります。
まとめ
データドリブンな営業活動は、今や多くの企業にとって必要なものとなっています。本記事では、この営業アプローチの必要性やメリット、デメリット、そして実践するための具体的なステップや実践例について解説しました。
データドリブンな営業活アプローチを試みる際に懸念されることとして、環境構築やツールにコストがかかることが挙げられますが、trocco®であればこの問題を緩和することができます。フリープランが提供されているため、導入コストを抑えながらも、新しい手法を試すことができます。
たとえば、trocco®を使いSalesforceに蓄積されたデータをGoogle BigQueryへ自動で転送し、転送したデータをTableauで表やグラフなどに可視化することもできます。
日本語でのサポートも充実しているため、疑問が発生すれば質問しやすい環境にあり初心者の方にも始めやすいでしょう。
データの連携・整備・運用を効率的に進めていきたいとお考えの方や、プロダクトにご興味のある方はぜひ資料をご覧ください。
