ヘルスケア業界では、個人情報をはじめとする患者データの取り扱いに極めて慎重にならなければいけません。データの秘匿性は絶対であり、同時にデータは異なる環境間でスムーズに連携する必要があります。
本記事では、大規模なシステム構築を検討していたあるクライアントの課題と、その解決方法について取り上げます。
クライアントの課題
クライアントは大規模なシステム構築を検討中で、データを中継しながら他の環境への連携基盤が必要としていました。このデータには個人情報や他の秘匿性の高い情報が含まれており、単純な転送方法は選べませんでした。また、マルチクラウド環境の構築が前提であり、一からデータ分析基盤を構築する予算は限られていました。
解決方法

この課題を解決するために、ETLツールとして「trocco®」を導入しました。このツールにより、一からのデータ分析基盤の構築を避けながらも、マルチクラウド環境にも対応することができました。さらに、将来的なデータの追加や異なるサービス・クラウド環境からのデータ連携も簡単に行える柔軟な基盤を持つことができました。
導入効果
これらの方法を採用した結果、システムの拡張性が高まり、短期間でのシステム構築ができました。これにより、データ連携の効率化や新たなデータソースの追加も容易となり、総じて高い拡張性を持つデータ分析基盤の導入を手間をかけずに実現できました。
データの秘匿性を担保しながらデータ連携する際のポイント
データの秘匿性を担保しながらデータ連携する際のポイントは、以下の4点です。
データのマスキングや項目の落とし方を正確に行う
データ連携時には、とくにヘルスケア業界のような高い秘匿性が求められる分野では、個人を特定するデータや機密情報の露出リスクを極力減少させるための手段が必要です。データのマスキングは、実際の情報を変更することなく外部から見ると無関係な情報に見せる技術です。
一方、不要な項目を落とすことで、データの簡素化とリスクの低減を図ることができます。これにより、情報の漏洩リスクを最小限に抑えつつ、データ連携の効率性を損なわないようにすることが可能となります。
ETLツールを活用し、データ連携の基盤を効率的に構築する
ETL(Extract, Transform, Load)ツールは、データの抽出、変換、およびロードのプロセスを自動化・最適化するためのソフトウェアです。手作業でこれらのプロセスを行うのは非常に時間がかかる上、ミスのリスクも伴います。ETLツールを利用することで、データの連携や統合を迅速かつ正確に行うことができるため、業務の効率化と品質の向上が期待できます。
マルチクラウド環境でも柔軟に対応できるツールや方法を選定する
近年、企業は複数のクラウドサービスを組み合わせて利用するマルチクラウド環境を導入するケースが増えています。このような環境下では、異なるクラウドサービス間でのデータ連携が課題となります。そのため、マルチクラウド環境に適応し、柔軟にデータ連携が行えるツールや方法の選定が欠かせません。これにより、システムの拡張性や耐久性を高めることができます。
連携先の環境やエンドユーザーの要件を十分に理解し、カスタマイズする
データ連携の成功は、単にデータを転送するだけではなく、受け取る側のシステムやユーザーの要件に合わせてデータをカスタマイズすることが重要です。とくにヘルスケア業界では、エンドユーザーの要求や使用するシステムの特性が多岐にわたるため、前もってしっかりとヒアリングを行い、データ連携の際のカスタマイズや変換を適切に実施することで、エンドユーザーにとっての価値を最大化することができます。
まとめ
ヘルスケア業界のデータ連携において、秘匿性の保持と効率的なデータ連携は両立可能です。本記事では、専用のETLツールを活用することで、高い拡張性と効率を持ったデータ連携基盤の導入が実現でき、データの秘匿性も同時に担保できた例を紹介しました。今後のヘルスケア業界におけるデータ活用には、このような先進的な方法が不可欠となるでしょう。
データ分析基盤の構築支援サービス「trocco®」を活用すれば、ETLやデータマートの生成もスムーズに行えます。可視化のためのデータ整備・管理も手間がかからないでしょう。
さらに、Amazon PrivateLinkを掛け合わせることでセキュアなデータ連携を実現することができます。
データ連携の方法や秘匿性の確保の仕方にお悩みの方は、一度株式会社primeNumberまでご相談ください。
データの連携・整備・運用を効率的に進めていきたいとお考えの方や、プロダクトにご興味のある方はぜひ資料をご覧ください。
