小売業界は絶えず変化する市場環境に迅速に対応しなければならない業界の一つです。近年、デジタル変革の波が高まる中、データの活用は小売業界にとっても避けて通れない課題となっています。特に製品の販売分析や在庫管理に関する情報は、即時かつ正確に取得・分析することで、売上向上やコスト削減の鍵となります。
本記事では、小売業界のとある企業の事例を取り上げ、どのようにデータを活用し、売上向上を目指した取り組みをしているのか紹介します。
また、小売業界の企業がデータ活用をする際のポイントを解説します。
クライアントの課題
小売業界の某企業には、製品の分析と販売においていくつかの課題がありました。
販促・購買を担当する部門では、製品開発や販売戦略に多くの時間を投じる一方、既存製品の分析に十分な時間を充てられていませんでした。既存製品の分析はメーカーに委ねることもありましたが、分析は限定的で、偏った結果になってしまうことがありました。
店舗運営の部門では、本部から提供される販促計画がExcelや帳票形式であるため、その内容を把握するのが難しいという課題もありました。
そして、顧客の視点からは、欲しい商品が実際に店舗にあるのかの確認がしづらく、店舗に訪れた際に製品が見当たらないということがあり、機会の喪失や、競合他社への流出リスクがありました。
解決方法
POSデータを収集している顧客データベースと倉庫データを保管している顧客データベースを、trocco®を使用してGoogle BigQueryに転送。
BigQuery上でマスターテーブルを作成し、製品の販売状況や在庫情報をリアルタイムで可視化する手段を整備しました。
さらに、店舗の在庫情報を頻繁に更新し、顧客専用のアプリと結びつけました。また、機械学習を活用して、販売実績を基にした需要予測を実施しました。

導入効果
この新しいシステムの導入により、企業やエリア、店舗ごとの販売状況を具体的に把握できるようになりました。また、単なる直感ではなく、データに基づいた正確な需給予測が可能に。
また、サービスを利用する顧客は店舗の製品在庫情報を確認してから購入を検討できるようになり、機会ロスや他店舗への流出のリスクが大幅に低減しました。
小売業界の企業がデータ活用をする際のポイント
データを一元化する
複数のデータソースにあるデータを一元化し、管理することが重要です。本記事で取り上げた事例では、POSデータと倉庫データが異なるデータベースにありましたが、ETLツールを使用してGoogle BigQueryに一元化することで、総合的な分析や施策の立案・実行が可能になりました。
データを一元化することで、情報の整合性を保つことができ、また、分析にかかる工数を軽減することができます。
データをリアルタイムに可視化する
製品の在庫や販売状況が刻々と変化する小売業界では、リアルタイムでのデータの可視化が非常に重要です。データウェアハウスやBIツールを活用してリアルタイムでデータの可視化を実現することで、各部門の担当者や経営層が現状を迅速に把握し、適切な対応をとることができます。
機械学習で予測分析を行う
小売のビジネスにおいて、需要の予測をすることもビジネスを左右する重要なポイントです。過去の販売実績だけでなく、機械学習を活用して需要予測を行うことで、より正確に見通しを立てることができ、在庫の最適化や効果的な販売戦略の策定、人員配置ができるようになります。
顧客向けに情報を提供する
顧客が欲しい情報を提供することで、購入意欲の向上や競合企業への顧客流出の防止が期待できます。本事例では、店舗の在庫情報を「お客様専用アプリ」と連携させることで、顧客が商品の在庫を確認してから購入を検討できるようになりました。
対面ではないシーンでのコミュニケーション・接客が鍵となるため、こうした取り組みは売上向上に有効的だといえるでしょう。
まとめ
限られたリソース内で売上向上のための分析・施策の立案をすることは、難易度が高いでしょう。しかし、データ分析基盤の構築支援サービス「trocco®」を活用することで、効率的なデータ活用ができる環境を実現できます。
trocco®では、クレジットカード不要のフリープランをご案内しています。データ分析にかかる負担を軽減し、事業の成長にデータを活用したいという方は、ぜひtrocco®をお試しください。
