「法人番号」と呼ばれるものをご存知でしょうか。
法人番号とは、国税庁が発行する「日本の法人・国の機関すべてに割り振られる13桁のユニークな番号」です。実は、法人番号にはさまざまな活用方法があり、企業活動(営利活動)をする全ての企業にとって、大きなメリットが得られる可能性を秘めています。

本記事では、2023年5月12日に開催されたセミナーをもとに、法人番号の基礎知識から活用方法までを詳しく説明します。

なお、本セミナーはこちらからご覧いただけます。


法人番号への理解を深め、実際に活用していくことで、アカウントベースドマーケティングやCRM/SFAの企業情報の充実化が期待できます。「法人番号という言葉を聞いたことはあるが、活用方法を知らない」、「BtoB企業に勤めており、HubSpot、Marketo、Pardot、Salesforce、kintoneなどのMA/CRM/SFAをよく使う」といった方は必見の内容です。


※本イベントレポートの内容は2023年6月当時のものです。

trocco®の利用やAWS PrivateLink接続オプション、データカタログオプション等の利用の詳細について知りたい方はprimeNumberまでお問い合わせください。

講演者紹介

吉田 裕宣(マエス)氏

法人番号株式会社 代表取締役、株式会社HR Force CDO(CX部ゼネラルマネージャー・DX部ゼネラルマネージャー)

2014年船井総合研究所新卒入社。同年に、最優秀新人賞を受賞。2018年、船井総研グループ内で株式会社HR Forceを創業する。(現Cheief Data Digital Officer)2022年、法人番号を多くの方々に広める為に法人番号株式会社を起業する。イチサンという法人番号を通じて、誰もが身近で便利に使えるプロダクトを数多く提供している。

田丸 裕弥

株式会社primeNumber ビジネス開発本部 Partner Success Planner

株式会社リクルートに新卒入社。決済端末のセールス組織検証や新規事業での内製セールス立ち上げに従事。営業手法確立・マネジメント体制・教育体制の構築を実施。

primeNumberでは、パートナーアライアンスの戦略立案・実行およびエンタープライズ向けのセールスを担当。

法人番号で何が変わる!?法人番号の”プロ”から教わる、実践でわかるCRM/SFAの顧客情報を充実させる方法

法人番号は最高に便利

吉田氏:「法人番号の魅力に取り憑かれてしまったため、皆さんにも法人番号を使いたいと思ってもらえるように話します。

本セミナーにご参加された方々に、頭の片隅に入れて覚えておいてほしいことがあります。それは、『法人番号は最高に便利だ』ということです。法人番号はめんどくさいものではなく最高に便利なものであることを、皆さんの中で体感してもらえたらと思います。そして、少しでもこの熱量が皆さんに届けばよいなと思いながら話をしていきます。」

法人番号は定義が難しい

吉田氏:「法人番号とは何かと問われた時に、知っているようで知らない事が非常に多いと思います。

Wikipediaを例に出してみましたが、最初にこの言葉だけで内容を理解できる人はほとんどいないと思います。行政の手続きで使われることはわかるが、それ以外はよくわからないのが正直なところでしょう。」

法人番号とは

吉田氏:「法人番号とは、株式会社も、1人法人も、医療法人を持つ病院も、マンションの管理組合や行政機関ですら、ほぼ全ての法人や行政組織が固有に持っている唯一の番号です。今回セミナーにご参加いただいた皆様も、おそらく全員が法人番号をお持ちだと思います。『企業版のマイナンバー』といった説明を受けることもあります。」

法人番号の存在意義

吉田氏:「法人番号やマイナンバーは、番号利用法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)で定められています。

法人番号が作られた目的は、行政機関で法人たちが行うさまざまな手続きを、たった一つの番号で管理することで、各市区町村が持っているデータの統合を容易にすることです。

マイナンバーと違う点は、行政管理に使いながらも、全て一般公開されている点です。CSVでダウンロードすれば、誰でも簡単に全社名やその住所を把握できます。

また法人番号の素晴らしいところは、番号や会社名、住所が正確なものでなければいけないことを法律で定義しているところです。皆様の中で、自社でIDを発番されている方がいるかもしれませんが、法律で定められているような厳格なものではないと思います。自社のIDは、担当者が変わる際などに揺れ動いてしまうケースがあると思いますが、法人番号は、日本の法律で制定されており、正確性を担保し続けられるマスターIDだと覚えていただけると幸いです。」

吉田氏:「世界各国でも、日本の法人番号のような番号は存在します。アメリカではEIN、EUではVAT、中国では組織機構コードと呼ばれるものが使われています。そのほかにも、ドイツやフランスなど、世界各国で法人番号に類するような番号を持っています。」

法人番号導入の経済効果は凄まじい

吉田氏:「法人ベース・レジストリはデジタル庁の目玉秘策の一つで、法人番号に関するさまざまな施策の中の一つです。これらの経済効果がどれほどあるかをデジタル庁が発表しています。

番号利用が推進されるだけで、経済効果はなんと、ドイツでは約1500億円、フランスでは約5500億円生まれたと発表されています。GDPの観点から言うと日本はさらに上であるため、1500億円や5500億円のレベルではなく、さらに大きな経済効果が見込まれるだろうと言われています。昔の推測では、1兆円とも言われています。」

民間での利活用はさらなる市場性が見込まれる

吉田氏:「前のスライドで説明した経済効果はあくまで行政だけの話であり、民間の利活用はさらなる市場性が見込まれると言われています。そのほかにも、法人番号を導入するだけで、自分たちの業務が楽になったり、さまざまなところとデータ連携ができるようになったりします。」

吉田氏:「改めて、皆様には『法人番号は凄すぎる』と覚えておいてほしいです。」

ここまではマクロの話をしてきましたが、ここからは、なぜ私が法人番号を魅力に感じるか、体験談を踏まえたミクロな話です。

2018年、株式会社HR Forceを創業しました。その後急成長し、現在アルバイトを含めて120人ほど在籍しています。その中で、顧客管理に関して、非常に大変な状況に直面しました。非常に嬉しいことではありますが、取引先の数が増えていき、電話やメールの対応が追いつかなくなっていきました。また、会社が重複してしまったり、取引先責任者や請求の紐づけ先を裏側で管理しなければならなかったりしました。」

顧客管理に関する課題は法人番号によって解決できる

吉田氏:「顧客管理においての課題をいくつかに分類しました。グループ会社の情報や取引先との重複問題、社名揺れ問題、他のデータと紐付ける時どうするのかといった問題があります。また、社名や住所は変更されたが追いきれない課題もありました。とくに、1回相談しただけの顧客をずっと追い続けることは困難です。これらが顧客管理において顕在化されている問題だと思います。

2018年頃残業が当たり前になっている状況で、これらの顧客管理に関する問題をどうすればよいか悩んでいました。そこで、Googleで『法人 名寄せ』と調べていた時、法人番号と呼ばれるものを知り、これだ!と雷に打たれたような衝撃が走りました。」

吉田氏:「一般的な顧客管理は、法人番号たったひとつを入れるだけで終わるのです。法人番号をもとにしながら、グループ会社間、請求情報との連携もできますし、法人番号マスタがあれば、それと紐付けることで最新情報が全て手に入ります。

また、データプロバイダーなどのさまざまな会社と連携する際も、法人番号に紐付く顧客の詳細情報や与信の情報を簡単に把握できるため、なんて魅力的なんだろうと衝撃を受けました。」

吉田氏:「業界別マーケット市場規模や獲得リード数、受注済みシェアを算出する際には、Salwsforceやfreeeなどのデータプロバイダーのデータを使います。これらはすべて、法人番号というキーが揃っているからです。」

吉田氏:「他にも多くの事例で活躍しており、法人番号をさまざまな会社に広めていきました。そして、(法人番号の活用によって)得られた結果は、数千万円ではきかないような、本当に信じられない累計額だと思っています。

法人番号を使うだけで相当業務が楽になりますし、さまざまなことが実現できるため、このような素晴らしいものを私の人生をかけて、世の中の当たり前にしたいと思いました。将来的に、ほとんどの人が活用できるようになれば嬉しいです。

今回、専門家とご紹介いただきましたが、法人番号が大好きなオタクです。」

法人番号設定・活用STEP早見表

吉田氏:「ここから実践編です。実際CRMのデータの中で、法人番号を用いてどのように管理できるのか疑問があると思います。また、何から始めればよいかわからない方も大勢いるでしょう。

こちらは、どういった手順で法人番号を導入し、どのようなメリットがあるのかをまとめた一覧表です。はじめにすべきことは、法人番号の付与のみです。法人番号の付与が完了すれば、さまざまな応用が利くようになります。

次にやっていただくのは、法人番号の重複や営業所の情報のマージです。外部とのデータ連携は後にして、内部のCRMを拡充するための方法についてご説明させていただきます。」

吉田氏:「皆さんのデータの中にも、おそらく会社取引先の情報はあると思います。スライドの図のように、株式会社A社の情報とA社営業部のように入っており、請求情報は紐付いていないため、それぞれ独自で管理しているケースがあると思います。

経済産業省が出している『法人番号付与ツール』と呼ばれるものがあり、社名と住所情報から一括アップロードすると、全て切り替えて法人番号が無料で付与されます。まだ精度はあまり高くはありませんが、悪くはないと思います。まずはこれだけでもスタートしていただけたら嬉しいです。

次に、これらのデータを基にしながら、法人の社名をマージします。ここで、営業部などが入った際は、別のテーブルを用意してください。重複を管理するため、支店情報は別テーブルにする必要があります。

最後に、請求などを紐付けることで、自社内の請求情報や法人番号、支店情報が全て紐付きます。このように、データをきれいに役割別に分けることを正規化といいます。

法人番号が紐付いてるものは基本的にユニーク性が担保されているため、CRM内のデータは管理され、非常にきれいになると思います。法人番号の付与は根性を出して行うと、1日か2日程度でできてしまうため、ぜひ皆さんにもチャレンジしていただきたいです。

これらのSTEPを実施していただくだけで、相当楽になると思います。今後会社が追加された際にも、マージしているものが簡単にわかったり、過去に相談した会社かどうかをすぐに参照できるようになったりします。」

trocco®の活用により、法人番号を応用する

吉田氏:「ただ、ここまではやられている方もいるでしょうし、最新データを毎日更新したり、オープンデータベースと連携したり、データベンダーとデータ連携に興味がある方が多いと思います。

これらの応用は、trocco®を使うことで実現できます。」

吉田氏:「SalesforceやHubSpotなどのCRMを連携する際、手動で頑張って更新したり、さまざまな会社から購入リストを購入したり、さまざまな手法があります。しかしtrocco®は、無料からでも簡単に外部データとの連携が実現でき、面白くてワクワクするような内容だと思います。後ほど詳述しますが、trocco®は楽で、優しくて、便利な方法です。

スライドの右側に、オープンデータについてさらっと書かせていただきました。オープンデータは統計局などが出しているイメージがあると思いますが、実はユーザーの人たちが行っており、それらのオープンなデータを全てBigQueryやSnowflakeにまとめてくれています。

法人番号の紐付くデータが一般公開された状態になっているため、これらのデータをtrocco®を使ってSalesforceやHubSpotなどに繋ぎ込むことで、CRMを拡充させられます。」

吉田氏:「詳しくは『no+e』において、『フリープランから始める法人データの自動更新』とご紹介させていただいています。手順を追ってやってみたい方は、ぜひご覧ください。」

 

この後、trocco®を用いたSnowflakeからSalesforceへのデータ転送のデモを行っていただきました。データ転送のステップを詳しく知りたい方は、実際のセミナー動画をご覧ください。
また、以下の記事では、SalesforceのデータをSnowflakeに自動同期し、BIツールであるLookerを用いて可視化する手順を詳しく説明しています。興味がある方は、ぜひご覧ください。

イチサンの紹介

吉田氏:「法人番号の技術によって、以上のようなデータ連携が無料で実現できる時代が来たと覚えていただければ嬉しいです。SalesforceとSnowflakeの連携によって、簡単に最新のデータが手に入ることを知っていただければ、ワクワクしていただけると思います。またBigQueryも入っているため、是非ご利用ください。

法人番号株式会社では、多くの方々に法人番号を使ってもらいたい思いから、法人番号技術をもとにしたプロダクトをすべて無料で提供しています。法人番号でイチサン for  Salesforceを使っている方々であれば、取引先名を入力すると自動的に法人番号が紐付きます。またイチサンフォームも全て無償でご提供させていただいています。

無償のプロダクトでも構わないから、『法人番号の技術を使うと、こんな面白いことができるんだ』と、一人でも多くの方に体感してもらいたいといった思いで活動しています。」

吉田氏:「今後は、イチサン〇〇ではない、『イチサン』と呼ばれる本体のプロダクトをご提供する予定です。イチサン for  Salesforceでは78社導入、イチサンフォームでは1900社利用の実績があり、現在でもご利用が急速に増えていますが、ここからさらに本体サービスのイチサンを出すため、何千何万人に届くようなサービスになるよう頑張っていきます。」

trocco®のご紹介

trocco®の概要

田丸:「trocco®とは、データ統合を自動化し、データエンジニアリングにかかる工数を削減するフルマネージドのETL/ELTサービスです。

企業でデータをビジネスには、社内に点在しているデータを収集・蓄積して、それらを必要な形のテーブルに加工し、BIツールやグラフで可視化して分析が必要になります。

trocco®は、この一連の流れの中で統合の役割を果たしており、データエンジニアリングにかかる工数の削減に貢献するSaaSです。」

trocco®で構築するデータ分析基盤

田丸:「trocco®が活躍する部分を図で簡単にお示しします。

たとえば、社内にあるデータをtrocco®が抽出して真ん中のデータウェアハウス(DWH)に蓄積し、必要な形のテーブルなどに加工します。その後、BIツールで可視化したりリバースETLでアプリケーションに連携し直したりできます。

先ほどの例だと、イチサンから取得したデータをリバースETLに使うことで、データウェアハウスに蓄積されている最新の法人情報からCRMの情報を更新できます。

そして、ワークフローを組むことで、データを抽出して加工・連携する一連の流れを自動化できます。そのため、1回設定してしまえば最新の状態に法人データを保管できます。

trocco®とデータウェアハウスを組み合わせていただくことで、スピーディーにデータ分析基盤を構築いただけますし、外部サービスとの連携によるデータ活用も促進されます。

持続可能なコネクタ

田丸:「連携できるコネクタ(サービスやデータソース)は、転送元・転送先を合わせて100種類以上あるため、拡張性高くご利用いただけます。」

trocco®が自動化するデータ統合過程

田丸:「先ほどからデータ統合と一口に申し上げておりますが、データ統合を実現するためには、さまざまな工程が必要です。大きく分けて、構築・運用・保守の3つの工程があると思います。

構築の部分では、trocco®をお使いいただくことで、『各カラム内容・使用確認』から『ETLシステムの設計・開発・検証』などの個別のETLパイプラインの設定が不要になります。サーバーの環境構築などもtrocco®で担えるようになっているため、工数削減が期待できます。

運用の部分では、エラーが起こってしまった時のサポートを提供をしております。実際にETL処理やデータの統合処理が始まった時の、データ活用開始後のメンテナンスに関しても、弊社でAPIのバージョンアップの更新対応をしています。またスキーマが変わった際にも、スキーマ追従機能によって、カラムの列追加に自動で対応できます。」

trocco®のコンセプト

田丸:「前スライドのオレンジの網掛け部分をtrocco®がフルマネージドでサポートできるため、データの前処理などの工数を90%以上カットできます。これにより、本当にやりたいデータ分析業務に注力いただけると思います。」

trocco®のメリット

田丸:「trocco®をご利用いただくメリットとして、分かりやすいGUIで簡単・スピーディーにデータパイプラインを構築いただけます。また、エンジニアでない方にもご利用いただいた実績がございます。社内の誰もがデータを扱える状態(データの民主化)の実現に貢献をします。

広告系のサービスから出てくるデータやデータベース系のサービスから出てくる顧客情報、売上の情報など、さまざまあると思います。そういった100種類以上のデータソースと連携が可能であるため、拡張性高くご利用いただけます。

またスライドには記載していませんが、『サポートが充実していて、内製化に役立ちました』といったお声をよくいただきます。データ分析基盤の構築に不安を感じている非エンジニアの方でも、安心してご利用いただけます。」

以上の理由から、trocco®は業種・規模を問わず、200社以上のお客様にご採用いただいています。こういった類の製品は情報システム部向けだと思われがちですが、日報の更新などで営業部でお使いいただいたり、広告データの活用などでマーケティング部の方が操作していただいたりするケースが多分にございます。

『まずは簡単にデータ分析をスタートさせたい』といったご要望も多く、2023年2月にフリープランをリリースいたしました。データ活用の初めの一歩をぜひtrocco®と一緒に踏み出していただければ嬉しい限りです。」

本記事のまとめ

本記事では、法人番号の基礎知識や企業での活用方法をご紹介しました。

法人番号にはさまざまな活用方法があり、実際に活用していくことで、アカウントベースドマーケティングやCRM/SFAの企業情報の充実化が期待できます。法人番号の活用をまだ始めていない方は、まずは無償のプロダクトから導入してみてはいかがでしょうか。

また法人番号の紐付くデータは一般公開された状態になっているため、これらのデータをtrocco®を使ってさまざまなCRMに繋ぎ込んで拡充させられます。

またtrocco®は、データカタログ機能やデータリネージ機能など、データガバナンスに有効な機能を備えています。そのほかにも、ETL機能をはじめとして、データ分析基盤の運用をトータルでサポートする多機能さが特徴のサービスです。

データの連携・整備・運用を効率的に進めていきたいとお考えの方や、プロダクトにご興味のある方はぜひ資料をご覧ください。

trocco® ライター

trocco®ブログの記事ライター データマネジメント関連、trocco®の活用記事などを広めていきます!