時系列データの管理と統合は、今日のビジネス環境での重要な課題です。とくに、大量のデータを効率的に取り扱うために最適な方法を模索しているデータ専門家や、ビジネスアナリストにとって、時系列データの管理と統合は避けられないものです。

時系列データ分析にPythonや他のプログラミング言語を用いることもひとつの方法ですが、すべてのビジネスパーソンがコーディングの専門家とは限りません。

そこで、ETLを含むデータ分析基盤の開発や運用を総合的に支援するSaaSツールが注目を集めています。ETLツールは、Google BigQueryAmazon RedshiftSnowflakeなどのDWH(データウェアハウス)との連携を容易にし、さまざまなデータベースやクラウドサービスとも簡単に連携できます。

本記事では、Pythonを使わずにETLツールを活用することのメリットや、ETLツールを導入する際の注意点に焦点を当て、時系列データの統合を最適化するための手法を紹介します。

ビジネスにおける時系列データの重要性

時系列データとは、一定の時間間隔で収集されたデータのことです。日常生活やビジネスのさまざまな分野、たとえば株価、売上、気温などで頻繁に生成されています。時系列データを的確に分析することで、過去のトレンドや周期性、季節性などを詳細に把握できます。また、過去の売上データを分析することで、未来の売上予測や季節ごとの商品の需要を予測することも可能です。

異常検知の観点から見ても、時系列データ分析の重要性は高まっています。突如として現れるデータの変動や異常値を速やかに捉えることで、機器の故障や不正アクセスといったリスクの早期検知が可能です。早期検知により、事前に適切な対策を講じ、大きなトラブルや損失を回避できます。

時系列データの分析を通じて、より具体的かつ効果的な戦略や対策の策定ができるようになります。時系列データの分析をする際はETLツールを用いることをおすすめします。簡便かつ効率的に時系列データの収集や分析ができるため、ビジネスの競争力を強化するツールとして役に立つでしょう。

ETLツールとは

ETLツールとは、「Extract(抽出)」、「Transform(変換)」、「Load(ロード)」の3つのプロセスを担うソフトウェアツールのことです。3つのプロセスは、時系列データを分析する際に不可欠な要素です。

Extract(抽出)のステップでは、異なるデータソース(CSVファイル、データベース、APIなど)から必要なデータを取り出します。たとえば、ETLツールを活用している企業内では、特定の期間のデータを取得するなどの抽出作業が行われています。

抽出したデータは、そのままの形式や値では目的のデータベースやデータウェアハウスに格納できない場合が多いものです。Transform(変換)のステップでは、データのクレンジング、フォーマットの変更、計算の実施などデータを最適な形式や構造に変更します。

Load(ロード)は変換後のデータを最終的な格納先に保存するプロセスです。このステップでは、データウェアハウスやデータベースなどの目的地に、変換されたデータを効率的にロードします。

ETLツールの導入により、これらのプロセスを自動化・効率化でき、大量のデータを迅速に取り扱えます。とくに現代のビジネス環境では、多種多様なデータソースからのデータの収集と統合が求められるため、ETLツールの役割は非常に重要です。

ETLツールを活用することで、Pythonや他のプログラミング言語を使わずに、直感的なインターフェースでデータの流れを管理できます。データ専門家やビジネスアナリストでも、複雑なコードを書くことなく、データの統合や変換を効率的に行えるのです。

ETLツールの導入に際しては、業務のニーズやデータの量、頻度、使用するデータベースやデータウェアハウスの種類など多くの要因を考慮して選択する必要があります。適切なツールを選択し、正しく設定することで、ビジネスのデータを効率的に管理できます。

ETLツールを用いて時系列データを統合する3つのメリット

時系列データは、過去のトレンドや将来を予測するための重要な情報源です。しかし、データが複数の場所や形式で分散していると、統合や分析が難しくなります。ETLツールを導入することで、こうした課題を解決できます。

ETLツールを使用して時系列データを統合する際の、主な3つのメリットを紹介します。

処理を自動化し、拡張性を確保できる

ETLツールの導入は、ビジネスの効率化とスケーラビリティの確保に役立ちます。ETLツールを使用すると、時系列データの抽出、変換、ロードの各プロセスを自動化できます。手作業によるミスを減少させ、大量のデータに対しても迅速な処理が可能となるのです。

ETLツールは高い拡張性を持つため、ビジネスの成長やデータ量の増加に伴ってシステムを再設計することなく、安定したデータ管理を維持できます。

ETLツールの導入により、長期的な視点でのデータ管理の安定性と効率性を同時に実現できるのです。

データの一貫性を保てる

データの一貫性は、ビジネスの意思決定や分析の正確性にとって非常に重要な要素です。異なるデータソースから取得される情報は、異なる形式のデータが混在している場合があるため、そのまま統合するとデータの不整合や誤解を生じるリスクがあります。

ETLツールの利用により、異なるデータソースから情報を一元的に統合し、所定のフォーマットへの変換が容易になります。

データの一貫性を確保しながら、信頼性の高い分析結果を得られます。

ETLツールによって、データの品質と一貫性を維持しながら、迅速かつ正確な情報管理と分析が可能になります。

データを効率的にクレンジングできる

データクレンジングは、データ分析の精度やビジネスの意思決定のために不可欠なプロセスです。とくに時系列データは、センサーやシステムの誤動作、人為的な入力ミスなどにより欠損値や異常値が混在しやすいため、データの適切な処理が重要です。

多くのETLツールは、データのクレンジングや品質確保の機能を持っており、ユーザーが簡単にデータの欠損や異常を検出し、修正・補完できます。データの品質を高く保ちながら、効率的なデータ分析や情報提供ができます。

簡単な操作で時系列データの品質を確保できるのは、ETLツールの大きなメリットのひとつです。

ETLツールを導入する際の3つの注意点

ETLは、データ統合の効率化や自動化を実現する強力なツールであり、多くの企業や組織での導入が進められています。

しかし、導入を検討する際にはいくつかの注意点があります。ETLツールを正しく活用するためには、以下の点を理解し、適切な対策や計画が必要です。

ランニングコストがかかる

ETLツールの導入は初期コストだけでなく、ランニングコストも考慮しましょう。とくにクラウドサービスとして提供されるツールは、データ量や処理の頻度に応じて費用が発生します。

システムのアップデートやメンテナンスに定期的なコストがかかる場合もあります。予算の計画を立てる際には、長期的な運用コストの考慮も必要です。

ツールの使い方を習得しなければいけない

ETLツールは高機能である一方、操作や設定には独自性があります。導入後に、効果的に活用するためには、関連するスタッフの研修や教育が不可欠です。

適切なドキュメンテーションの整備や、サポートを受けられる環境の構築も重要なポイントです。

カスタマイズが難しいことがある

多くのETLツールは汎用的な機能を提供していますが、特定のビジネスニーズや要件に合わせたカスタマイズが難しい場合もあります。

導入前には、自社の要件や将来的な拡張性を考慮し、ツールの柔軟性やカスタマイズ性を確認することが大切です。

必要に応じて、開発元やサプライヤとの連携を深めることも検討しましょう。

ETLツールを活用した時系列分析の事例

時系列データの分析は、過去のトレンドや将来の予測に欠かせません。ここでは、ETLツールを活用した時系列分析の事例を紹介します。

ある企業は、毎日膨大な量のCOVID-19関連データを収集していました。データを日々分析し、将来の感染者数や増減を予測することで、ビジネス戦略の策定に役立てていたのです。しかし、データの量が増えるにつれ、データの統合やクレンジング、分析の効率が低下し始めました。

課題を解決するため、同社はETLツール「TROCCO®」を活用しました。その背景には、データの自動整形や、BigQueryMLを活用したARIMAモデルでの予測、運用監視を一元的に行いたいという要望があったのです。

TROCCO®を活用することで、同社はデータの抽出からロード、分析まで一連のフローを自動化できました。とくに、データマートの設定を活用して、任意の期間に絞ったデータ取得やクレンジング、時系列データの学習や予測の効率化を実現しました。運用監視の部分では、BigQueryチェック機能を用いて、データの品質や分析の精度を自動で確認できるようになったのです。

結果として、データの統合から分析までの時間を大幅に短縮でき、意思決定のスピードが大幅に向上しました。データの品質や分析の精度も改善し、ビジネス戦略の目的を達成しました。

この事例から、ETLツールの導入は、時系列データを分析する企業にとって、大きなメリットをもたらすことがわかります。データの一貫性を保ちながら、効率的なデータ統合と分析を実現するために、ETLツールの活用は不可欠と言えるでしょう。

まとめ

ETLツールを導入することで、データの統合や分析の効率化を実現できます。しかし、導入に際してはいくつかの注意点があります。とくに、ランニングコストやツールの使い方の習得、カスタマイズの難しさなどが挙げられます。

このような懸念を払拭できるのが「TROCCO®」です。TROCCO®の最大の特長はGUIベースでの操作ができることです。データの流れや変換ロジックを直感的・視覚的に作成できるため、非技術者でもワークフローを理解しやすく、効率的にデータを処理できます。

TROCCO®は、クレジットカード登録不要・無料のフリープランを提供しており、手軽に利用を開始できます。必要に応じて有料プランも選択でき、自社の状況に応じて機能を追加するなどのカスタマイズが可能です。
TROCCO®の料金体系をくわしく知りたいという方はこちらをお読みください。

ETLツールの導入は、ビジネスにおいてデータを活用する上で欠かせない要素です。TROCCO®はデータ分析基盤の構築やデータの利活用を効果的に進めるための強力なパートナーとなるでしょう。データの連携・整備・運用を効率的に進めていきたいとお考えの方や、プロダクトにご興味のある方はぜひ資料をご請求ください。

TROCCO® ライター

TROCCO®ブログの記事ライター データマネジメント関連、TROCCO®の活用記事などを広めていきます!