データはビジネスのコアです。データが正確でなく、また一貫性に欠けると、企業全体の運命さえも左右してしまう可能性があります。しかし、その健全性を維持管理することは非常に複雑で難易度が高いことでしょう。

分析や意思決定の正確性を確保し、業務プロセスをスムーズにするには、「データの健全性」を保つことが重要です。

本記事では、「データの健全性」の言葉の定義から、その重要性、そしてそれを保ち続けるためのポイントを解説します。

データの健全性とは

データの健全性とは、データがその目的に適しており、一貫性、正確性、信頼性が確保されている状態を指します。

データの健全性は、現代の企業にとって非常に重要な要素です。昨今のデジタル中心のビジネス環境において、世界中の組織がデータに依存しているため、データの品質と信頼性はビジネスの成功に直結しています。

クリーンで統合されたデータは、優れたビジネス洞察やデータ視覚化の基盤を提供します。CRM、ERP、販売、ITシステムなどのデータソースからデータを収集し、適切に計画し、クリーンに保持することで、ビジネスプロセスの効率性が向上し、誤ったデータを扱うことによるコストやリスクが最小限に抑えられます。

しかし、データの健全性を維持することは容易ではありません。

データの健全性を維持するには、データの管理と評価に関する明確な戦略が不可欠です。

データの健全性がビジネスにとって重要な理由

データの健全性はデータドリブンな意思決定を可能にし、収益の増加、コストの削減、リスクの軽減などの多くの成果をもたらします。

しかし、不健全なデータ活用をした場合、組織に時間の浪費、コストの増加、収益への悪影響などをもたらす可能性があります。データを有効活用するためには、データの健全性を確保することが不可欠です。

ここでは、データの健全性が重要な理由を4つにわけて説明します。

データフローの高速化が求められているため

データの適切な活用は今やビジネス成功の鍵と言える非常に重要な要素であり、組織にはますます多くのデータへのスムーズなアクセスが求められています。

事業の競争力を維持し、迅速に機会や脅威に対応するためには、データの流れ(データフロー)を高速化し、データ環境を適応的に構築する必要があります。

異なるスキルを持つメンバーがデータ管理に参加できる必要があるため

データ管理に関与するのはデータエンジニアだけでなく、マーケターやカスタマーサポート、営業、企画など、社内全体のメンバーも含まれます。その結果、データの管理とアクセスが多様化し、データの品質と安全性の確保が難しくなります。組織はデータ管理のための専門的なスキルに依存しない方法を模索し、全従業員がデータを理解し活用できる文化を構築する必要があります。

ハイブリッドおよびマルチクラウド環境への移行が活発になっているため

柔軟性が高いクラウドサービスが一般的になった結果、ハイブリッドおよびマルチクラウド環境への移行が加速しています。このような環境ではデータ管理戦略が必須となり、データの柔軟性と明確な定義が求められます。データの健全性を確保するためには、これらの環境に適したアプローチが必要です。

規制要件が変化しているため

近年、データ保護とプライバシーへの懸念が高まった結果、GDPRやCCPAなどの規制要件が増加しています。データガバナンスと品質保証に対する一貫したアプローチができない場合、各ビジネスプロセスを遅らせ、重大なリスクをもたらす可能性があります。そのため、組織は規制に対応し、データの健全性を保つための対策を講じる必要があります。

データの健全性を測る6つの要素

データの健全性を測定する要素としては、下記6つが挙げられます。

  • 完全性
  • 正確性
  • 一貫性
  • 妥当性・整合性
  • 適時性
  • 一意性

それぞれ詳しく見ていきましょう。

完全性

データセット内に保存されている情報が、全体の情報に対してどれだけ完全かを示しています。具体的には、データに欠落や不足がないかを確認し、データが適切に補完されているかを確認します。完全性のあるデータは、的確な分析と信頼性のある意思決定の基盤となります。

正確性

データが現実世界の出来事やオブジェクトをどれだけ正確に表現しているかを示します。データが事実に基づいており、誤った情報を含んでいないかを確認するということです。正確なデータは、ビジネスの信頼性を高め、誤った意思決定を防ぎます。

一貫性

異なるデータソースや表現間でデータに不一致がないことを示します。具体的には、同じ情報が一貫して表現されており、矛盾がないかを確認します。データの一貫性は、データ間での信頼性を確保し、混乱を避けます。

妥当性・整合性

データがその定義や規格に適合し、構文や形式に適切に整合しているかを示します。具体的には、データが適切な形式で管理され、整合性が保たれているかを確認します。妥当で整合性の取れているデータは、正確な分析と効果的なデータ処理に不可欠です。

適時性

データが必要な時点からの現実をどの程度正確に反映しているかを示します。具体的には、データがリアルタイムで更新され、意思決定者に迅速に利用可能であるかどうかを確認します。特に迅速な意思決定が求められる場合、適時なデータは不可欠です。

一意性

同じアイテムやエンティティが複数回記録されていないことを示します。具体的には、データの重複を避け、データの一貫性を維持します。一意なデータは、混乱を防ぎ、データベースの効率性を向上させます。

データの健全性を維持するための方法

データの健全性を保つ方法としては、データガバナンス、データクレンジングとデータバリデーション、データセキュリティとアクセス制御の3つが挙げられます。

3つとも主に、データの信頼性と品質確保の手段として実施されます。

それぞれ詳しく説明します。

データガバナンス

ひとつめの方法は、データの信頼性と品質を確保するためのデータガバナンスです。データガバナンスは、組織全体でデータに関する方針とプロセスを整備し、実行する枠組みです。

具体的には、データの所有権、アクセス権、構造、品質管理、セキュリティなどが含まれ、ビジネスのデータストラテジーと目標達成、透明性の確保、合意形成の促進に寄与します。

データクレンジングとデータバリデーション

次は、データの品質確保のために、データクレンジングとデータバリデーションを実行しましょう。データクレンジングは、収集したデータから不正確な情報を洗い出し、修正または削除します。

データバリデーションは、データが要件を満たし、定義済みのルールに従っているかを確認します。このようなさまざまなチェックルーチンを使用することで、データの正確性と適合性を担保します。

データセキュリティとアクセス制御

そして、データの信頼性を保つために、データセキュリティとアクセス制御を徹底しましょう。これは、データが安全であり、適切なユーザーだけがデータにアクセスできるように対策を講じるということです。セキュリティ違反や不正アクセスからデータを保護すれば、データの整合性と信頼性を維持する要件を満たせます。

まとめ

データの健全性を確保し、信頼性の高いデータを活用できる環境を築くことは、ビジネスの意思決定において不可欠です。データドリブンなアプローチは競争力を高める鍵となりますが、その基盤としてデータの整合性や品質の確保が重要です。

ここで、ETLツールが役に立ちます。ETLツールは、異なるデータソースからの抽出、変換、ロードを効率的に行い、データの整合性や品質を保つ上で欠かせません。

データの健全性を確保するには、データガバナンスの実施やデータクレンジング・データバリデーションの施行、セキュリティの担保などが必要になります。

それらを実現する際に、分析基盤の総合支援ツール「TROCCO ®」は非常に有用です。

TROCCO®は、ETL/データ転送・データマート生成・ジョブ管理・データガバナンスなどのデータエンジニアリング領域をカバーした、分析基盤構築・運用の支援SaaSです。TROCCO®について詳しく知りたいという方は、以下より資料をご覧ください。

TROCCO® ライター

TROCCO®ブログの記事ライター データマネジメント関連、TROCCO®の活用記事などを広めていきます!