メタデータは、データの宝庫を管理し、有効活用するための鍵です。しかし、具体的にどのようなメリットがあるのか、どのように管理すべきなのか、くわしく知らないという方もいるでしょう。

この記事では、メタデータ管理をすべき理由や注意点、メタデータ管理を始めるステップから、ベストプラクティスについて説明します。

今あるデータを有効活用したいとお考えの方はぜひご覧ください。

メタデータ管理とは

メタデータ管理とは、データに関する情報を整理・記録し、データの理解、利用、および管理をサポートするプロセスです。

そもそもメタデータとは、「データのデータ」です。メタデータは、データの本質や特性を説明するデータであり、データを管理・活用するために用いられます。具体例として、ファイルの作成者、タイムスタンプ、ファイルサイズ、データ形式、格納場所などがファイルに関する情報の一部であり、これがメタデータです。これらの情報は、データを理解し、効果的に管理・活用するために欠かせません。

なお、メタデータはいくつかのカテゴリーに分類されます。主要なカテゴリーは次の通りです。

メタデータの種類 概要
テクニカルメタデータ データの物理的な側面に焦点を当てた情報で、ITにおけるデータの情報を表す。データベースのカラムプロパティ、アクセス許可、データ変換方法などが含まれる。 データベースのカラム情報、アクセス許可設定、データ変換方法など
ビジネスメタデータ 業務領域に関連する情報を記述し、業界用語、業務規則、セキュリティ設定、ビジネス用語の定義などが含まれる。 業界用語の辞書、業務規則、データのセキュリティ設定、ビジネス用語の定義など
オペレーショナルメタデータ システム運用中に生成される情報で、バッチジョブのログ、データ抽出結果などが含まれ、システムの効率性を向上させるための情報を提供する。 バッチジョブの実行ログ、データ抽出結果、データの寿命追跡情報など

メタデータ管理の重要性

このようなメタデータの管理は、データドリブンな経営をする現代ビジネスにおいて極めて重要です。その重要性は下記の理由に基づいています。

データの活用

メタデータの管理はデータを活用するための鍵となります。たとえば、データ分析、意思決定、ビジネスプロセスの改善など、データ関連の多くの活動でメタデータが活用されます。メタデータがあれば、データの意味や文脈が理解しやすくなるため、データの活用効果を最大化でき、このメタデータを管理することがビジネスの成功につながります。

セキュリティ

メタデータ管理はデータセキュリティを向上させます。アクセス権やセキュリティ情報をメタデータとして組み込むことで、データの機密性を確保し、セキュリティリスクを軽減するためです。適切なメタデータ管理をすれば、データへの適切なアクセスが担保されます。

迅速なデータ取得

メタデータ管理の実施によって、必要な情報を素早く取得しやすくなります。たとえば、データの所在地や属性を明確にすれば、データへのアクセスがスムーズになります。その結果、データの検索時間が短縮され、意思決定が迅速に行えるようになります。

上記のように、メタデータはデータの理解・活用・管理において欠かせない要素です。データドリブンな経営を行う昨今のビジネス環境において、このようなメタデータを適切に管理することは成功の鍵であり、データ活用の可能性を最大限に引き出します。

メタデータを管理する5つのメリット

メタデータを管理することには下記5つのメリットがあります。

点在しているデータを集約して管理できる

メタデータ管理は、データの分散と断片化を解消し、散在するデータを一元化するサポートをします。データの所在や属性情報の明確さは、組織内でのデータの統合と整理に寄与します。結果として、データの信頼性が向上し、信頼性の高い情報に基づく意思決定が可能となります。

データ品質が向上する

メタデータの管理はデータ品質の向上に寄与します。これは、データの意味や正確性が明示的に記録され、データ品質の維持と向上が実現されるということです。メタデータにはデータの更新履歴や品質情報も含まれ、データ品質のモニタリングと改善に役立ちます。データ品質が向上すれば、信頼性の高い意思決定のサポートと、戦略的なビジネスアクションの展開が期待できます。

必要なデータを探す手間が省け、分析や意思決定のスピードが上がる

メタデータを管理すれば、データの迅速な検索と取得が可能となり、業務効率が向上します。これは、データの属性情報や関連情報から、必要なデータを瞬時に特定でき、データ利用のための時間とエネルギーが節約されるということです。その結果、データ分析の加速と即時の戦略的行動が可能となり、競争上の優位性を築くのに役立ちます。

実際にメタデータの整備をした企業では、導入によって社員が自主的にデータの検索ができるようになっています。

atama plus株式会社では、メタデータを丸ごと検索できるようにしたり、メタデータに誰でも情報を入力できるようにしたりするなどの取り組みを行いました。その結果、技術的知識があまりないビジネス部門のメンバーや、SQLのスキルはあるが特定のデータの場所を知らない社員でも、自ら必要なデータを見つけられるようになりました

多角的にな分析でインサイトを得られる

メタデータはデータの多角的な分析を支援します。これは、データの属性情報や関連性を理解することで、データの真価とビジネスへの潜在的な寄与を洗練された方法で評価できるということです。さらに、異なるデータソースを統合し、包括的な洞察を獲得できます。データの多面的な視点からの分析は、戦略的な意思決定に不可欠であり、競争優位性の鍵となります。

セキュリティを確保できる

メタデータ管理はデータのセキュリティ向上に寄与します。具体的には、データのアクセス権、データの流れ、個人情報に関する情報をメタデータとして記録し、データの適切な利用と監視を容易にします。個人情報を特定するためのフラグやセキュリティポリシーをメタデータに組み込むことで、データの適切な保護が確保され、データ漏洩リスクの軽減と法的規制への適合を支援します。

メタデータ管理の注意点3つ

活用できれば大変便利なメタデータですが、このメタデータを管理する際には下記3つの点に注意することが重要です。

個人情報の取扱に注意が必要

メタデータは、しばしばデータの中に機密情報や個人情報を含んでいます。たとえば、写真ファイルには「Exif」メタデータが埋め込まれており、撮影日時や位置情報などの個人情報が含まれています。このようなメタデータを適切に管理できなかった場合、プライバシーの侵害や法的問題を引き起こす可能性があります。とくに、ソーシャルメディアやオンラインプラットフォームで写真や動画を共有する場合、Exif情報の確認と適切な削除が必要です。企業内でも、機密情報や個人情報を含むメタデータの適切な取り扱いには十分な注意が必要です。

データ品質維持のためには定期的な更新が必要

メタデータはデータ品質を確保するための鍵となりますが、その品質を保つためには定期的な更新が必要です。データが変更された場合、それに合わせてメタデータも適切に更新されなければならないということです。定期的なメタデータの更新を怠ると、データ品質が低下し、誤った情報が広がる可能性があります。データの正確性と信頼性を維持するためには、メタデータの管理と更新に十分なリソースと計画が必要です。

コスト・リソースがかかる

メタデータ管理には、時間とコストがかかることがあります。具体的には、メタデータの収集や整備には時間とリソースが必要であり、とくにビジネスメタデータの場合、業務ルールや要件を理解し、情報を収集する必要があります。また、メタデータ管理ツールを導入する場合、ライセンス料や設定、保守にコストがかかります。このため、メタデータ管理を実施する際には、適切な予算とリソースを確保し、効率的なプロセスを構築することが求められます。そのコストとリソースを最適化するためには、メタデータ管理の計画と実行に十分な配慮が必要となります。

メタデータ管理のステップ

メタデータを管理するには、下記4つの手順を取るとよいでしょう。

ただし、組織の課題や状況によって適宜調整をしましょう。

データ収集の目的・対象を定める

メタデータ管理の最初のステップは、データ収集の目的と対象を明確にすることです。データ収集は目標に基づいて行われることが重要であり、たとえば、新しい製品の開発、セキュリティの向上、市場分析などのビジネス目標に合わせてデータを収集します。目標を設定しないままデータ収集を始めると、情報の過多やデータの散逸が生じ、分析の焦点が失われる可能性が高まります。明確な目標を設定し、データ収集の方向性を明示しましょう。

メタデータを収集する

目標が確定したら、必要なメタデータを収集します。メタデータはデータを説明し、組織内での理解と共有を支援する重要な情報です。自動ツールを使用してデータベースからメタデータを抽出する場合もありますが、データの信頼性と品質を確保するために、データ検証手法を適用します。このような正確なメタデータの収集は、データの利用と管理において基盤を築く重要なステップです。

メタデータの整理と分類を行う

メタデータを収集できたら、それらを整理し、適切に分類します。メタデータの整理には、ラベルの追加、詳細な説明の記入、データの特性の明示などが含まれます。これにより、データの内容や関連性が明確になり、データの理解が容易になります。整理の際には、データの階層構造や依存関係も明示的に記述しましょう。このような整理と分類は、メタデータの効果的な管理と迅速な検索を実現するために欠かせません。

メタデータの品質を管理する

最後に、メタデータの品質を管理します。メタデータの品質管理には、正確性、一貫性、更新、バージョン管理などが含まれます。データの品質が低下すると、意思決定や分析に誤った情報が影響を及ぼす可能性があるため、品質管理は不可欠です。定期的な監査とデータクレンジングの実施も品質管理の一環です。品質管理を遵守することで、データの信頼性と有用性が確保され、データ資産が最大限に活用されます。

メタデータ管理のベストプラクティス

データガバナンス戦略の定義

優れたメタデータ管理のプラクティスは、まず効果的なデータガバナンス戦略の策定から始まります。データガバナンスは、メタデータ管理が組織のビジョンと一致し、データ品質やセキュリティを確保する基盤となります。

データガバナンス戦略の定義は、具体的には、メタデータ管理がビジネス目標と一致することを確認するために、具体的で測定可能な目標(SMART目標)とキーパフォーマンスインジケータ(KPI)を設定します。これにより、進捗状況を定期的に評価し、成功の指針とすることが可能となります。

メタデータ管理ツールの活用

効果的なメタデータ管理を実現するためには、メタデータ管理ツールを適切に活用することが不可欠です。これらのツールは、メタデータの収集、保管、検索を効率化し、データ資産を効果的に管理できるようサポートします。主要な機能としては、下記が挙げられます。

メタデータ管理ツールの主な機能 どのような機能か
メタデータリポジトリ メタデータの一元管理と統合を実現し、メタデータを効果的に管理します。
ワークフロー管理 メタデータの変更や承認プロセスを効率的に管理し、データ品質を確保します。
検索機能 ユーザーが必要なメタデータを簡単に検索し、利用できるよう支援します。

このような機能が必要とされるメタデータ管理は、手動で管理すると困難で労力がかかりますが、データカタログを活用することで、これらの課題を解決できます。データカタログは、データの一元管理とデータの詳細情報の文書化を提供し、データの効果的な活用をサポートします。データカタログの導入には多くのメリットがあり、データの増加や複雑化への対処、データガバナンスの強化、データ品質の向上、データ利活用の迅速化、統一的なデータビューの提供などが挙げられます。

このように、データカタログは、データ活用の効率向上と問題解決に貢献する不可欠なツールとされています。

横断的にデータを管理するチームをつくる

メタデータの管理は、単なる専門部門の取り組みに留まりません。部門を横断的に統合したチームを構築することが不可欠であり、このチームにはビジネスユニットとITが含まれ、メタデータのプロセスと戦略が組織全体のニーズに適合するようサポートする必要があります。

ビジネスユニットからの洞察とITの専門知識を組み合わせることで、メタデータ管理の包括的かつ効果的な実施が確保されます。

まとめ

メタデータを手動で管理するのは人員が必要となり、また人間による管理のためヒューマンエラーが発生するリスクも否めません。効率的なメタデータの管理をするにはデータカタログの導入が大変有用です。

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TROCCO® ライター

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